寝顔/オダ カズヒコ
すずき のりこさんのコメント
やっぱり、あれもこれも気になっちゃう。

◆【冷房を止めると
舞はサングラスを外し
サプリメントを口に入れる】

一連目。わたしなんかが無意識に書いちゃえば、上のようなそっけない書き方になっちゃうんでしょう。織田式話術であるリモコンで(末端動作の具体化)、主食の(生活のひとつを具体化)をアクセントにして、さり気なく、頭のなかにこの絵(舞)をぽっと照らしています。一連目も含め、織田式話術って一工程差し込む作業の手本(見本市)なんでしょうね。



◆【白いタンクトップの下の
ブラを外すと僕は
乳房をつかみ
強くキスをする

電話台で
ファックスの音がして
咳き込む舞が
身を離した瞬間】

までが、手練手管の織田さんが女のブラを外すように、サラサラと描写されて、一連目で灯った絵がアニメーションのように動きだして、そのことすらなかなか気づかされない。

◆ところが、【僕らは群集の中にいた】以下から、サラサラな水平描写は実にザクザクした垂直連結が始まり、まるで、どこか、意図的にコマ抜きをし、悪意あるコマを挟み、閾下刺激のような、『なにが見えますか』的な目眩を感じます。ある意味キモ心地よく、大げさにいうと、バッドトリッピーな雰囲気が漂います。



◆【ソープランドで働き始めた舞は
帰るなりヒールも脱がぬまま
座り込んで泣いている

ベットに寝かしつけ

防音ガラスの中で
ビリビリと耳を這う
地下鉄の工事が
束ねた髪の
舞の寝顔を
乱暴に寝かしつけている】

リモコンから始まり寝顔までの、いいたげな主体は巧みな水平描写と強引な垂直連結の見事なモンタージュによって、絵が動き、アクセントを生み、リモコンから寝顔の間に一体、何が起きたんだろう。というさり気なさすぎるスリルが、凄く隠されてしまってるんだなぁと思いました。

凄く長いコメントですみません。書かずにはいられませんでしたので。何か勉強になります。別に詩を書かないわたしでも(笑)。やっぱり織田中毒って、あるんですよね。