北の亡者/Again 2013神無月/たま
鵜飼千代子さんのコメント
実家で犬を飼っていたことがあります。13年生きて、足を悪くしていたので病院に連れて行こうと話していたときに、炎天下、仔犬から我が家に来て、猫の額ほどの庭を駆け回っていた犬は、その頃はよろよろとしかし自分の庭を、母屋を(母屋しかありませんが)巡回するようにくるくる散歩していたようです。その日、駐車場スペースの段差に足をふみはずし、自分で足を抜くことが出来ず、一時間程助けを求めて鳴いていたようです。(家族が仕事から帰宅したら亡くなっていて、後から近所の人が教えてくれた)全て伝聞なのは、飼い主が妹であって、わたしは既に結婚して自宅を出ていたからです。大型犬だったのでお骨にしてもらって狭い庭の池のほとりに埋葬しました。生きている頃は、庭は獣道だらけで庭の植栽は大変なことでした。犬を飼う前に妹が幼稚園から貰ってきたアヒルも我が家で8年程生きましたが、庭で放し飼いだったので庭中やわらかい糞だらけで毎日ホースで誰かが(わたしではない)流していました。犬を飼うときも顕微鏡を買うときも、直ぐ下の妹にお願いされて、お年玉でためたお金で協力しました。別家を建てた時には、「廃棄するコンテナの中に使えそうな木材があるから(2×4)お姉ちゃん来て!わたし出来ない。」と、現場から1時間の2才年下の妹にせがまれて、のこのこと片道7、8時間かけて出向き、コンテナの中をかき回してスノコくらいは出来そうなものを拾いました。妹が喜んでくれるだけで苦労なしって家族だからでしょうね。他人なら、「もう少し遠慮出来ないの?」って思うかも。妹に対しては小さい頃、かなり色々力で押さえつけることをしてきたので(取っ組み合いの喧嘩でも年上のわたしが勝って妹を泣かせる)、少しばかりの罪滅ぼしでしょうか。妹が飼っていたペットで、アヒルが一番利口でした。数件先の曲がり角を父が曲がると「お帰りなさい!」と鳴いて家族に知らせる。いつも釣ってきた新鮮な魚を、頭の上からあげてキャッチさせていたから、父はアヒルのご主人様なんですね。小さな子供や勝手に庭に入ってきた人には頭を低くして威嚇し、つついて攻撃する。門を開けて誰かが入ってきたら、脱走する飼い主似のおバカ犬とは大違いでした。アヒルも池のほとりにそのまま埋葬しているので、池を潰して猫の額ほどの庭を駐車場だらけ(といっても2台)にしようという提案には、介入しない家族もいますがわたしは父とふたりで「しなくていい」と言っています。

最近、アルビノのインコを飼いました。震災の直前の大雪の日に、冬眠して帰って来なかったシマリスの精神的ダメージでしばらく生き物を飼っていなかったのですが、子供がハムスターを飼いたいと言うのでペットショップに見に行ったら、インコのヒナに蹴りを入れられて(アピール)、後ろに隠れるヒナより手乗りになりやすいというので飼ってしまいました。寿命は10年くらい?ハムスターよりはながい。

犬は人、猫は家、インコは人間になつくそうです。人間になつくというのは、一人の人になつくと他の人も信じてしまうよう。
さみしがりで甘ったれだそうなので、自分の甘えたい欲をインコとわけあおうかなって思って飼いました。いわゆる「カゴノトリ」ですから(室内に放すときには糞もまきちらかしますが、それはリスもハムスターも一緒)わたしが淋しがれば淋しがるだけなつくようです。気をつけなければいけないのは、我が家は平屋ではなく地上10階のマンションなので、いくら天井まで3メートルのリビングで羽を鍛えていてもベランダにお迎えのゲージを用意しておいても、10階までは飛んで帰って来られないだろうということ。
今の内に、足に紐でも縛り付けておけばいいのかな。絡まって死にそうだし。

親も死ぬから一人で生きられない自分は先に死にたい、だけれど親を悲しませたくないというジレンマに陥ったのは初潮も遅い中学生の頃でしたが、現在、父もまだ仕事をしているし、母も今のところ健康で、わたしは自分の心配をしていられるのですが、「みんな死ぬ」がわたしの行き着いたゴールなので、日々を楽しみながら毎日ピリピリしています。みんな死ぬから。生きているうちに何をするのか考えよう。自分の為に、みんなの為に。