焼肉定食/りつ菊西 夕座さんのコメント
焼肉定食を食べるにも、ただ「いただきます」だけではなく、これだけの祈りが必要になるのかと思うと、世界もいよいよ重要な局面を迎えているということがヒシヒシと感じられてきます。
箸の重さはいまや物干し竿の重さであり、それがいともたやすく風であさっての方向まで転がってしまう。これは方位磁針の針を示しており、世界の針が次にどこへ向かうのか、まったく読めない情勢をよく現しておりますね。
「チチンププララ」と調子はなんだか愉快そうなんですが、この物干竿がチンチンの針であったころはまだ可愛いもんで、一寸法師みたいにドンブラこっことお椀を漕いでいればよかったんですが、やがて大海へ乗り出すと、あっちの島もこっちしの島もかすめとろうと海中から海坊主のごとくドナルドダッ鬼や北京ダッ鬼があらわれて、大波が盛んにまきおこるもんだから、木の葉のように竿はながされてしまいますが、そこはさすがに一寸法師、これで鬼退治をあきらめたわけではなく、しあさっての方向を探ろうと目を凝らすわけですね。
焼肉定食のドロドロのタレにまみれた皿に目をこらし、その中に潜む一寸の針に明日への希望を託し、いまは下半身の竿をたてていたずらに昂奮するのはじtっと抑え、冷静に中米の動向に目を光らせながら、あくまで弱肉強食の世界に戻るのではなくて平和な定食にありつける日々を願う心が、さらりと味付けされていると思います。
決して草食には甘んじない焼肉定食を前にしながらも、カロリーを控えようという気持ちが、この詩をあくまで軽くさせているのだとわかります。