詩は衰退したのではなく、移動した――日本詩歌ジャンルの制度と影響力 /atsuchan69
室町 礼さんのコメント
「詩」を論じることは、結局のところ、私たちが
「人間としてどう生きるか」を論じることと切り
離せないわけですが、投稿者さまが「詩の衰退」
というとき、それは当然「詩」の衰退ではなく今
の「人間の衰退」なわけです。
そうすると「詩」は「移動」したのではなく「転
位」したというほうが正しいような気がします。
ではどういうふうに「転位」したのかというと切
実な自己表出=詩的表現から、通俗的でわかりや
すいジャーナルな言葉に自己を解消していったと
いうことが現実なのではないでしょうか。
つまり投稿者さまが仰っているような「詩の移動」
について半世紀ほど前に吉本隆明が問題提起しそ
れを『転位のための十篇』という詩で表現してい
るのですが、問題提起の視点と方向性がほぼ真逆
という事態になっています。
その真逆を生じさせた原因こそが詩に対する姿勢
の違いにあったのじゃないかとわたしには思われ
ます。
投稿者様がおっしゃられるようなところに現代の
抑圧された意識が一時的な抑圧を解消したところ
で、それは一時的な対症療法でしかなく、ほんと
うの自己意識の解放=詩のことばにはなってなく
て、永久に自己を失って墜落していくことになり
はしないかと憂慮しますが、まあ、それは一変わ
り者の憂慮にすぎないのかもしれませんけどね。
---2025/12/26 14:27追記---