裸の枝に実る柿/菊西 夕座
洗貝新さんのコメント

まだ暗い夜明け前、ひっそりとした古い民家の入り口を見上げれば、
枝には錆び付いて実を垂れる柿の木が、
ああ、柿もスーパーで買えばけっこう値が貼るのだ。
もぎたいな、もぎたいな、だが、待てよ。
熊に先にもがせて吐き出すか、見てみたいのだ。
ああ、なつかしや、柿の木坂の入り口にはひっそりと闇が沈み
日暮れの跡が佇んでいた。

独身最後のシングル荒井由実の「翳りゆく部屋」はパイプオルガンとオルガンの違いこそあれ、
彼女に影響を与えた「青い影」の面影が伺えて、
その「青い影」もまた「G線上のアリア」の影響が伺えるという流れをみれば、
これからも「秋」というしじみ汁のような季節は存在していくのだろうか。と、
わたしは昨日の柿の木を思い浮かべて、
作者がここに示した「翳りゆく部屋」をもう一度聴いてみた。
? なんとなく雰囲気声も似合わないな。松任谷由実。
この曲は、千のか~ぜ~に、千のか~ぜにのって~の、
秋川雅史にピッタリなのだ。
そう思い込みながら吐き捨てた渋柿の愛おしさよ。
熊よ。柿の実は付いてるぞ。
わたしの通る時間には出てこないでおくれ。



---2025/10/25 13:24追記---