風とことばは嘘つき/ただのみきや
菊西 夕座さんのコメント
「あなた」がすこしとらえどころがなくて、それが逆に解釈の幅を広げ、魅力的にもなっていると感じられますが。

>土から顔をだした
の顔と
>あなたの横顔
の顔

>眠りの殻
の殻と
>そんなものを拾い集めに
>海にでも出かけようか
の浜辺に落ちているのであろう貝殻

こうしたリンクを追っていくだけでも楽しめそうです。

そしてやはり、夢と意識の、光と影の、日焼けと白紙の、どちらともいえない表情。それをとらえようとする「ことば」なのか、それをひるがえす「風」なのか、そのゆらめきのなかに、「あなた」の「横顔」があり、その「こころ」の反射の移り変わりに、美をみるような心地がします。

というのもですね、先日ちょっとした博物館で、夜光貝の殻の内面の真珠層を薄く切りとり、螺鈿に使用しているというのを学びまして、その貝の殻の色彩、艶、きらめき、こういったものが想像された次第でして、光に照らされた浜辺の貝の横顔は、さぞかしキラキラとまたたいているのではないか、そこに嘘が含まれていようと、かえってその嘘(みえかくれする影)が美を構成するひとつの要素になっている、そんな思いに誘われた次第です。