真紅の門からひろがる空漠をぬけていく南風/菊西 夕座
洗貝新さんのコメント

失恋東北旅行の途中に立ち寄った仙台の青葉城に着いた頃にはもう日が暮れていた。もう少し時間に余裕を取りながら塩竃の方向へ脚を向けなかったのは、牛タンと紹興酒を飲み過ぎたからではない。半ば着物姿の菊姫様を仲居のおばちゃんに重ねていたからだろう。
日本三大史跡の一つ多賀城跡。
城柵を越えて侵入した陸奥の国蝦夷伊治呰麻呂もその菊姫様の美しき首を討ち取るのには、さすがに耐え難きを耐え忍び難きを忍びながらその後の律令制を知ることになる。
鮫の革を腰に挟んでいたため、帰りの仙台空港ではテロリストと勘違いされた、惜しい旅だったのです。