未分化横丁、ついてこないで、刑事アメンボ/菊西 夕座菊西 夕座さんのコメント
みちょぱのぽんの、洗貝新さん。
キク虹工務店のドロンボが白蟻にくわれた家を訪ねている風景は、じつにドロンボ的描写でわくわくしますね。ヨレヨレのコートのポケットから白蟻がぼろぼろこぼれてくるあたりや、シロアリに食われた家の梁を見上げて別れたばかりの広末涼子を思い浮かべる場面なんかは、いかにも調子はずれなすっとぼけのコロンボ調であり、それが笑うに笑えない広末涼子のくたびれた破綻的美貌と重なると、より一層コロンボ的シュールさが引き立ちますね。
おそらくこの刑事を装った蟻っ子ロンボは、闇バイトの強盗犯で、家の様子を下見にきた偵察員にちがいありませんね。LEDに光る名詞なんてのがいかにもSFチックではアリますが、これで家の中を隅から隅まで全部照らしだしてヘソクリのありかを暴きだそうって魂胆ですな。一方で隕石の落下した痕跡を尋ねているわけですが、それがただの闇バイトではなく、暗黒星雲からやってきたドロンボ王国の隠し胤のアリかを探る裏バイトも兼ねており、女王蟻のドロンジョ姫が地底におかくしになった正統な跡継ぎを暴き出そうっていうミステリー仕立てにもなっている。これはなかなか込み入った話であり、その後の展開が非常に気になる筋立てになっておりますな。
ところで今回の詩は、デヴィッド・リンチ追悼特集で上映されていたイレイザーヘッドを観て刺激され、着想されたわけですが、この映画に出てくる未熟児もやはりどこか暗黒の異界から送り込まれてきたような描写があり、そういう意味で
>有座から隕石に乗ってやって来た求愛くんの原始細胞はやがて地球という惑星に辿り着き、ジグザグに延びた菌糸の途を辿れば猿もスベる幹。百頭虫に喰われて蛙に喰われて蛇から空飛ぶ龍へと変化する。
というイメージを洗貝さんに喚起させることができたことをうれしく思うわけであります。まさにそのような得体の知れない生命のひそかな襲来を私もイレイザー・ヘッドに感じたわけでありますから。
とはいってもデビッド・リンチの世界観はどこか正気の沙汰ではないぶっとんだところがあるため、やはり難解で、分からないというのは正直なところであり、そこから着想を得た私の詩もまたわけの分からないところがあって、自分自身でさえ手探りな観念を描いているものですから、読まれた方が頭をかしげたくなるのももっともだと思います。私なんかは映画の途中でどうにもならない尿意を催しまして、よっぽど途中でトイレに駆け込みたかったのですが、不思議とそのような切羽詰った状態がイレイザーヘッドの魔術的な錯乱状態と妙にリンクしまして、かえって居心地の悪い状態を突き抜けていくことがエクスタシーに通じる道であると半ば悟ることによって、膀胱をおおいに震わせながらこの映画を最後まで見切ることができた達成感にひどく充足した次第です。
若ければこんな膀胱の衰えに悩まされることはないのですが、かえって衰えることで得られる新たな発見もあり、それと同時にまだまだ自分には我慢できる余力(暗示によって目覚めさせられる力)が残っているのだと、頭がふっとんでしまったイレイザーヘッドに気づかされたわけであります。
どうも長々と余計なことを書き連ねてしまいましたが、洗貝さんの反応力のよさについついうれしくなってお腹がぴょんぴょん跳ね回ってしまったようで、膀胱の活力をまたひとつ得たようなわけであり、大変ありがとうございました。
atsuchan69さん、お読みくださり及びポイント、ありがとうございます。
りつさん。
「知的なのですね」といっていただけて、「ち」を出したかいがありました。悪の塊の血的描写をとがめられるんじゃないかとびくびくしたもんですが、うまく「知」に変換してくださって感謝いたします。こういう変換が脳内で自然にできるのは、いうまでもなく、りつさんが知的であることの反射的証明なのだと思っております。あまりダジャレをやりすぎると、幼稚の「ち的」に陥るリスクが増えるわけですが、これをいかに回避するかが「ち」カラの見せ所だとおもって、かえってますますダジャレにがんばっている次第です。
そこへもってきてコロンボ刑事がどうしても頭から離れず、今回も詩に出演させてほしいとせがむものですから、ほんとうはお断りしたかったにもかかわらず、彼をまたしても出演させてしまった次第であります。もう私はコロンボから脱却したい思いなのですが、かえってそれがコロンボを呼び寄せてしまうような有様で、それもまたりつさんの感じた「面白勝った」につながっているのであれば、コロンボに負けて面白さに勝った、といえるのかもしれません。
なにはともあれ、「面白カッターです、面白勝ったdeath」というふうに言葉が勝手に、いうならばカッターに、語呂合わせへと動いていかざるをえない自然流下的状況を作り出すこと、これが私の世の中に対する企てDeath。それがダサければダサいほど、いよいよデスイと、ついにはDeathイといわれるように。
ということでりつさん、ありがとうございました。
---2025/05/06 14:16追記---
---2025/05/06 14:23追記---