WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
室町 礼さんのコメント
詩的な哲学的思惟の断片というふうに読んだのですが
冒頭のジンメルのことばなどわたしなんかがポンコツ
頭で人生を通じて考え抜いたことに比べるとちょっと
図式的な発言のような印象を抱きました。
「わたしという意識」は確かに「輪郭」がなせるものです。
それはもちろん「輪郭」ではあるのですが正確には
「境界」です。ジンメルがいうように内と外のあいだの
「境界」です。このj境界によって「わたし」という自意識
つまり輪郭が生じる。ただし、内側つまり自意識を持つ側
が空っぽの空虚でなければこの「境界」は生じない。
内側も外側も「空っぽ」では「輪郭」つまり「境界」は
生じないし、どちらも満たされていてはやはり境界つまり
輪郭は生じない。そして人間は輪郭を生み出すのではなく
生まれつき輪郭はつまり境界はあるのですね、わたしの
考えでは。生まれたときからずっと死ぬまで人間の内側は
空っぽです。だからこそ外部との瀬戸際に境界=輪郭が
生じる。この輪郭のかたちが人間の意識です。
人間の存在は生まれつき空っぽでなければ意識は生じない。
意識はその存在が空っぽであればあるほど輪郭つまり
境界は鮮明になり意識も鮮明でありつづける。そう思って
います。