定めの夜/ホロウ・シカエルボク朧月夜さんのコメント
なにげない習慣へのレクイエム、何も変わらなそうでいて、「時」とともにたしかに何かが変わってしまっている……最近、こういう作品を読むとサルトルの「嘔吐」を連想してしまうんですよね。……というのは、そこに書かれているのは、ひょうっとしたら作者の「時間感覚」だけなのではないか、という。そういう思いを抱いたりしています。ただ、わたしは「時間」というものを特別視しているわけではなくって、むしろ「時間など存在しないのではないのか」とすら思うこともあるのですが、物事なり、出来事なり、人間なり、そういったものを想像し、思いを連ね、一つの意味に返そうとするとき、そこにはきまって「時間の影」が表れてくる、そんな感じですね。「定めの夜」の「定めの」というのも、例えばフラッシュアニメのタイムラインに差しはさまれたラベルのように、「名付けられた一つの時間」<のみ>を表しているのではないだろうか……自然に、ということを思ったりします。