夜しずかに/リリー朧月夜さんのコメント
最後、このままが良いと思います。大げさに書けば、人の実存に触れるような詩で、最後の「置かれましょう」が一見不自然のようにも見えて、全体を引き締めている感じがします。個人的な感想ですが、サルトルの「嘔吐」を思い出しました──資料としてあちこち拾い読みしただけなのですが。良い意味で突き抜けていて、なんでしょう、天球に向けてはなった思いがそこで反射して降ってくるかのような、そんな感覚を持ちました。
追記です。読み直してみましたが、最初の二連はまあ、月との対話ということで詩的ではあるものの、十分に理解・実感できる(詩に慣れていない読者でも)表現ですね。やはり、終わり二連の「わたし」のメタモルフォーゼが良くって、木の葉の舟への偽物化は、月の魔力に導かれたものなのか、あるいはもっと高いところからの啓示なのか……。「置かれましょう」がいろいろな解釈を許しますので──「わたし」がそう呟いているのか、あるいは叙事的表現なのか、エトセトラエトセトラ──余白のいろいろなもの、例えば見えない星、見えない宇宙の息吹、あるいは意思、といったそういうものの存在をほのめかしてくれているのですよね。ちょっとうならされました。とても好きな詩です。
---2024/10/19 19:29追記---