風のいろ/リリー
アラガイsさんのコメント

句を詠むような綴りで編まれていき、ときに一休みする空間。止め。
入れ替わる語り手の視点で情景が描かれていきます。画家は情景を描くときにはその空気感を表すのに苦労しますね。視点は遠近感を画面に写しながら色彩と明度に集中します。これは語り手の視点です。なので作者は語り手を通して読み手にその感動や感覚を伝えようと表現します。残念ながらわたしの眼に風の色はみえてこないのですが、これは風景、たとえば情景詩を描写するときによく陥る意識的な欠如だと思われます。読み手には映り見えない景色。何を通して語り手の意識の中に入り込むことができるのでしょうか。やはり、語り手である作者の感動を通じて共有できないと読み手には伝わらない。それはなによりも先に語り手(作者)が感動を知覚する、ということでしょうか。詩の情感とはそうして伝わるものだとおもいます。