燃える、燃える/ひだかたけし朧月夜さんのコメント
「此処、東の国にて、」というのが良いですね。戦後詩以降ナショナリズムは否定される傾向がありますが、折口信夫などの文献を読むと、日本は古来から「西の国」を故郷にしとして認識してきた、ということが分かる。そうした知識を踏まえて読むと、「東の国」というのは「現世」のことだと解釈することもできる。意図的なものかどうかはわかりませんが、そういった深さが、この詩にはあると思います。
追記です。日本という国にとっては、北の国は異民族の土地、という意味合いが強いと思います。それなので、近代以前には劣った土地・遅れた土地という認識もあったのではないでしょうか。でも、その傍らでユーカラの研究など、その異民族の文化を再評価する働きもあり、北の土地すなわち劣った地、という解釈はされなくなってきているように思います。ただ、いまだに日本人=単一民族という考え方も根深く、なかなかアイヌの文化や沖縄の文化などは十分に理解されていないという面もあります。ただ、そうなると文学の問題ではなく、民俗学の問題になるので、ここで差しはさまれるべき議論ではなくなってしまうでしょう。今回のわたしのコメントは、単にそういう見方もある、という程度にとどめていただければと思います。
---2023/01/11 15:07追記---