春の花/田中修子トビラさんのコメント
はじめの方の入りがスッと入ってきて、それこそ水色な気持ちになりますね。
ただ、後半の戦争があったというところからは作品として読んだときに、消化・昇華しきれてないかな、とも思いました。
でもそれが悪いことかというと、僕はわからないです。
書きたいというか、書かなくてはいけないものを書いている、そういう感じがするからです。
どうしても書かないといけないものを書く。
もしかしたら、それは作品の質より大事なことかもしれないと思いました。
作品としての質が低いと言いたいわけではなくて。
作品とするには書ききれない思いがあって。
今はまだそれを書ききる力がなくても、その思いを書ききるように書いていくことで、作家としてどこまでも成長できるのかな、と。
僕が田中さんの作品をはじめて読んでからたぶん二年半くらいだと思いますけど、その間、同じテーマに向き合いながら、たしかに前に進んでいるような感じがするんですよ。
この作品も前半は過度な自罰さが抜けて、きれいな思い出が表れてると感じましたし。