秋の魚あはれ/yo-yoアラガイsさんのコメント
動きのあるうまいお話ですね。活き活きとした描写によるメルヘンとはこんな作りのことでしょう。秋の渓流の中に引き込まれてしまいます。
釣りあげられた魚は一枚のエノキの葉。銀色の魚とはもちろん川の主です。この動きのある河童と妖精のような魚との関係に話の焦点をあてることで、冒頭の風景が大きな山の背景として印象的に立ち上がります。。そしてこの冒頭の景色は、まるで白昼夢のように語られる物語の景観を辿りながら、終わりの小さな景へと導かれるわけです。釣りびとは、ものの見事に妖精たちの罠に嵌まったわけですが、読み手は物語の中に去りゆく夏の面影をみつめながら、そして秋の愁いを感じとるのです。
メルヘンが生かされた見事な作りの詩だと思います。