日本一小さな港*小良ケ浜漁港/黒木アン黒木アンさんのコメント
〜日本一小さな港
富岡町は福島県浜通り地方の中央に位置し、そこに日本一小さな港で知られます小良ヶ浜漁港がありました。
一人の男性が30年もの間つるはしで内陸からトンネルを掘ったことで生まれた浜です。
原発から4?と近い小良ヶ浜周辺の景勝は自然美に溢れ、夏はのどかな風景も冬には一変する厳しさもあり、その季節の繰り返しは、理想郷として此処にしかない風が流れ、雲が動き、人びとの暮らしと共に伝承されてまいりました。
夜明け前には女たちが出港の準備をはじめ、日があけると男たちが漁へ向かう港。
極寒の朝には、冷たい水しぶきに逃げだしたくなるほどの過酷な自然環境の中「生きることは時に厳しい」と小良ヶ浜に生きる数組の家族の姿はテレビでも放映されております。
昭和42年から始まりました原発建設における交付金により富岡港の建設が進められる中、小さな港の風化に不安を感じながらも、地域の人たちの食卓にのるだけの漁獲に満足してきた人たち。
海で生きてきた暮らしは失われ、その海には大量の放射能汚染水が流れこみました。
現在、沿岸漁業は自粛されておりますが、一部の漁場に限り試験的に操業しています。
また警戒区域である富岡町の一部の地域では、放射能物質の漏洩により行方不明者やその家族の捜索も制限されています。
震災で崩れ落ちた小良ヶ浜漁港は廃港となりました。