あの日のブタと/オダ カズヒコアラガイsさんのコメント
面白い寓話です。馬鹿だなぁと単純に笑えるひとは幸せな人々でしょう。三島由紀夫は人々がこのようなニヒリズムに陥ることを疎んだ。そしていま我が国では漸く憲法の改正案が本格的に議論されようとしています。しかし彼が望む強い国体にはまだ足並みは遠い。今日も大多数の庶民は政治に無関心です。あまりにも巨大された社会のシステムを、たかが政治を支配する政府なんぞで良くも悪くも変革できるはずがないとみている。直接自らにダメージを及ぼさなければどんな政府だっていい。このどこまでも水平に広がる大衆ニヒリズムの波はなかなか修まらない。ニヒリズムからは何も作り得ないのは理解しているのに、です。諸外国に眼を向ければ活発だった反政府活動の火種も、やがて国が成熟すると共に鎮火していくでしょう。そして開発途上国のあちらこちらにも原発は建設されるのです。そのうち地上ではテロが核事故へと変わり、やがて不満分子が支配した国から核ミサイルが飛び出し、人々は旅行どころか安易には外へも足を踏み出せない。バリアーを張ったドーム型居住地や地下深くまたは空中都市などは、けっしてSFアニメーションのままでは終わらないのです。人類が本格的に太陽系の外へ踏み出す寓話には、まだまだ犠牲者の数が足りないといったところでしょうか。