海の家/peau花形新次さんのコメント
表題は海の家だが、勿論逗子海岸で焼きそば食っている訳じゃない。おそらくは海辺に建つ家、ひょっとしたら療養所のような場所かもしれない。生まれない家族というのだから、何らかの理由で堕胎しなければならなかった女性だろう。洗い流すや愛を知らない少女に戻るということは、愛してた人に裏切られたとも読める。女性の無邪気な振る舞いを見ると気が触れてしまっているのかもしれない。女性に付き添っている作者がその情景を描いた詩だ。テーマだけ見ると非常に重たい詩になりそうだが、澱みのない文章と透明感のある比喩がそうさせていない。女性を見る作者の視線が全てを受け入れた優しいものだからだ。