現象学的還元/まどろむ海月ツさんのコメント
---2010/01/28 18:45追記---
(こっそりとこめんと。)
僕はいわゆる20世紀の分析哲学、言語哲学というものをほとんど知らない(美術とどうぶつ行動学経由でかじった程度...)のですが、青とは何か、、青が青く見えるということはどーゆーことなのか、、あの青をどーして僕はアオと呼ぶことが、どーして僕はアオという響きからあの青のあの青さをアリアリと思い浮かべられるのか、おとーさん、庭に立ってぽかーんと青を見上げている僕と、(その僕が)見上げてる青のもの凄い青さのそれはもう異常なアオ感を出した青すぎる青の青さに気づいてしまっているもうひとりのぼくは、、いったい誰なのか。意識なのか。ただの言語行動なのか。
そういえばむかし、僕のセンセーもこういってました。
君の目には太陽から降りそそぐすべての電磁波(光)がみえるわけじゃない、君が見えるのはそのうちの限られた波長の光で、そのかぎられた範囲の波長の光が、君にさまざまな色の感覚を生じさせてるんだ、って。
君にはすべての光が見えているわけじゃないし、君に見えない紫外線のよーな光を見ることができるどうぶつもいる。ミツバチとかね。でも、じゅうようなのは光や音が見えたり聞こえたりすることと、その光や音が、君やミツバチには、どんな色に見え、どんな音に聞こえ、世界がどんなふう感じられているかってことは、まったくべつのことなんだ、って。
君とミツバチとの間に特定の範囲の光が見えていることがわかっても、それはたんに対応づけがしめされただけで、君とミツバチが同じ色の光を見ているということにはならない。君の青がミツバチにはどんな色に見えているか、それはわからない。そして、それは君と、君以外のにんげんとの間でも、原理的にはまったく同じことなんだ、って、おかーさん。
おとーさんが教えてくれた青という色も、おかーさんやセンセーやぼくたちそれぞれの、かんじんの、見えている青の内容にはついては、どこまでも、何も語ることができないんだね。
誰もがしってる、ほらすぐあそこにみえる、青、という語の意味は、なのに、青いものが青くみえているぼくや君の感覚のことではないんだね、どこまでも。
でも、もしかしたら、みんな同じ青が見えているかもしれない。
でも、もしかしたら、ぼくに見えてる青は君とはちがう青で、正しいほんとうの青じゃないのかもしれない。
みんなべつべつの、それぞれの青が見えてるのかもしれない。
ほんとうの、正しい、青、なんてそもそもどこにもないのかもしれない。
実体なんて、内容なんて、最初からどこにもなかったのかもしれない。
僕たちは光を見ているんじゃなくて、光によって僕たちが発見されているのかもしれない。
僕たちにはわからないだけで、ほんとうは、世界は生活に支障がない程度にぐにゃぐにゃゆがんでて、光とか重力とかクルマとかおとーさんもぐにゃぐにゃ曲がってるのかもしれない。。セカイなんてどこにもないかもしれない。
僕たちはみんなそれぞれべつべつの次元に存在するぐにゃぐにゃ宇宙を生きてて、ほんとうは互いに一切関知してないのかもしれない(意味不明)。。
にもかかわらず、
青 よ !
部屋を出ようとしたら、鍵がなかった。
いつも鞄に入れてるはずの鍵が、どこにも見あたらない。
人を待たせているのに、もうすぐ約束の時間なのに、僕はまだ部屋で部屋の鍵を探しています。
今すぐ鍵掛けずに家出たら、まだ間に合うかな。
乗り換えの電車すぐに来るかな。
ケータイ鳴らしたら、鍵が見つかるかな。
あっ、きのう酔っ払って帰ってきたから、鍵、リアルにドアノブに刺さったままなのかも。
とりあえず外に出て確認してみる。
鍵はないが、いい天気だ。
ああ、目を刺すような、青。
視界の隅っこに捕捉した青を完全に無視して
モノノケみたいなスピードで僕は再び部屋に戻る。
どうしよう。
メールboxの中のあの案件。
あの案件に関しては完全に無視を決め込んでいる。
他のメールには即座に返信しても、あの案件に関しては完全に無視を決め込んでいる、どうしよう。
そして、もう打ち合わせの時間が過ぎてるのに、僕はまだ部屋で部屋の鍵を探しています。
ケータイ鳴らしたら、鍵が見つかるかな。
メールboxの中を探したら、鍵が出てくるかな。
くだらないこと言ってないで、とにかく家を出よう。
鍵掛けずに家を出て、そして謝罪しよう。メールの件はそれからだ。
僕はそっとドアを閉めて部屋を出る。
鍵はないし、世界はぐにゃぐにゃしてるかもしれないが、僕の手はたしかに、
僕の腕の長さの距離の処で、ひんやりとしたドアノブをしっかりと掴んだ。
この感じはゆるぎない。
ゆるぎようもなく、僕は鍵を掛けずに家を出ようとしているのだ、というこの感じ。
ゆるぎない、青。
僕の個人的な鍵事情とは無関係に、目を刺すような青。
そうだ、あれはいつか、フラれた卒業式の日も青が、青が、青かった。
うたがいようもなく、青だった。魂を吸い込まれそうほどに青だった。
ふりかえれば青。なんでもない日の、青。気持ちわるいくらい、きれいな、青。
水溜まりに、コップに、デジカメに、車のミラーに、ドアノブに映り込んだ、うたがいようもない、青。
青よ。
ドアノブよ。
いつだっておまえはゆるぎなく、僕のくだらない事情とは無関係に、青であり、ドアノブだった。
「見上げる今日の青のもの凄い青さのそれはもう異常なほどのアオ感を出した100億万画素の青よりも青すぎる青の青さの、青よ!」
とにかく家を出よう。もう絶対間に合わない時間だけど、乗り換えの電車すぐくるといいな。
謝罪しよう。1時間以上遅れたけど、部屋の鍵掛けてないけど、青はひたすら青いけど遅れたこと、とにかく謝罪しよう。
メールの件は、それからだ。