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見たか?

見た見た!

聞いたか?

聞いた聞いた!

それで どう思う?

ま ここは
見なっかったこと 
聞かなかったことにして…
   迷刀スパイ

ぼくが国民学校に通っていたころ
鉛筆削りや竹細工には
折りたたみナイフ「肥後守」を使っていた
喧嘩のときも肥後守をちらつかせれば相手はひるんだ

その頃
日本では本 ....
前を歩いていたあなたは
病棟をつなぐ廊下の途中で 
ちょっと振り返って
「じゃあね」と
奥の扉に入っていったきり…

少し左肩を上げ 
口の左端を上げてほほえむパジャマ姿の
あなた ....
友といさかい冷えた心で乗った電車
開いたドアからはいりこんだ冬の風が
通り抜けていく

二・三歳の男の子を連れた若い女が
隣にすわり 子を膝に乗せる

子の足がずれて
座席のあかいビロ ....
陽の当たらない玄関の
下駄箱の上に置かれたガラスの水槽
その中に金魚が一匹 

夏の宵
太鼓の音や提灯に囲まれた広場の
入り口で掬い取られて 
運ばれてきた

  たくさんの兄弟と泳 ....
日本には
人を斬るに便利な言葉がある

新しいゲームが欲しい子は
「みんながやっている」と刃をちらつかせる
優しい親は ゲームのできない我が子が
「みんなに」虐められそうな気がして
つい ....
箱の中に入っている人のこと
何も知らないのだがな 
どんな仕事していた人か 
どんな声で話す人か
葬式だから来いと言われてやってきたけれど
母の従兄弟と言われても 
母はとっくに死んで ....
人生に設定した目的に向け 
一直線に生きていける人はあるまい
散歩先に目的地を設定しても
一直線に歩いて行くことはない

前方の橋
大型犬を連れた女性がこちらに来る
わたしは 当然の ....
ぼくの中に少年のぼくがいて
ぼくの中をぼくが歩いている
ぼくの中を少女が歩いていて
ぼくの中を
何人ものぼくが歩いている

ぼくの中をあなたが歩いている
あなたは背を向け
ぼくの中でち ....
水面に風の足跡
揺れる山々

赤い花白い花

虫に食われ 
風に破れ 
ぼろぼろの葉

あれがぼくだよ

遠い日 
ほど良い大きさの
バスタブに浮かんだ生きもの

池の面 ....
壁に掛かった能面たちは
電灯に照らし出されると
生き返る

幼い子には
能面たちの話す声が聞こえるのか
じっと見つめ後ずさりする

激しい風雨の夜は
般若面が半開きの口の奥で
歯を ....
腹の中

むかし 
おふくろは言ったものだ
「おれの腹断ち割って見せたいものだ
 真っ白じゃで…」
そう あなたは 
腹に一物持つような了見など有りはしなかった

だが
子ども達は ....
山間の道路が雪に覆われていた間
馬小屋に閉じ込められていた馬
雪が溶けると小屋から引き出され
四輪の荷馬車に繋がれる

出かけるときには
隣の家の生け垣の
樫の葉を食いちぎり
轡に邪魔 ....
台風一過
雲一つない青空
仰観すれば…
あれっ蜘蛛一匹

秋なかば 
部屋を覗くお日様
そして
スパイ ダー
 
セピア色の銀板写真に
固定されたあなた
肋骨の浮き出た体で
西瓜を喰っている姿に
戦場の匂いはないとしても

あの夜
炎にあぶられた身体は
反り返り 跳ね返り
決意は ぱちぱち爆 ....
陽光も届かない湖底には
二十世紀を抱えたまま山里が沈み
とある一軒家には歳経た鯉が住み 
いろりを囲んで小魚たちに昔話を聞かせる

山峡の淵に潜んでいた竜は
湖底に散らばっている屋敷を見て ....
角膜を塗らす涙が涸れて
風景が乾燥する

人々は宙を歩いて
ぼくの中を通り過ぎ

アパート群を包む
光の霧はさらさらうごめき

新緑の山に光の粒子が
飛び跳ね渦巻き

光の雨が ....
船は水平線を追いかける

疲れた今日が沈み
絶望が沈み
青春が沈んでいく水平線

追いかける船も
やがては
水平線に沈んでいく
 
目には見えるけれども
決して捉えることは出来な ....
ぼーとテレビを見ていて
半開きの唇から
涎が一筋
急いで手で拭き…
認めない
涎を垂らしたことが老いのせいだなど
ただ 口を閉じていなかっただけ
幼児は涎を流し
若者だって 口角泡を飛 ....
はて?

住宅地の細い道
前から来た黒いセダンの
ドライバーが微笑みながら軽い会釈
反射的に会釈を返したが 
ちらっと見えた横顔には見覚えがない
目で追った車は角を曲がって 
その先は ....
今日は町内会の清掃活動日
今日は春のウオーキング大会最終日

近所のかみさんたちが
雑草刈りしている

 あいさつはしないほがいいな
  気付かれないように行った方がいいな

か ....
ぼくの産まれた家の梁に掲げられた肖像写真
セピア色の男は祖父だという
のっぺりとした老女は曾祖母だと聞いた
ぼくの子どものときから宙を睨んだ顔
五十年以上も表情を変えることなく
梁に張り付い ....
ぼくらが産まれたころ
 産めよ増やせよ
政府の方針として人間の出生を奨励した時代があった
早く言えば 粗製濫造

ぼくら乱造された人間はお国のために死ぬこと
それが名誉だと…
他に役に立 ....
何処に行くにも二本一組で
助け合って動く足に異変が生じた
左足の指の関節を骨折した
左の指先が大地に触れると
痛みが全身を走り頭に抜ける

医師は左はかかとで歩けという
左足を半歩前 ....
コンクリートの塀に添って
浅く掘られた排水路には
緑色の水が
日照りの夏も
凍てつく冬も淀んでいて  

水中に浮遊するべき
ボウフラ・ゾウリムシの類いも
泥中にたむろするミミズの姿も ....
旭山動物園 シロクマ兄弟 




なあアニキ 
ちょっと脅してやろうじゃないか

 おれは面倒だ 勝手にやりな

じゃあ 見みててくれ 
あのこども脅してやっから
 
 白 ....
滞ることなく継続していく時間
の中に縒り込まれ生命
いつかは剥がされ
抜け落ちるとしても 
まだ先のはずであった

だが 
左足小指の
先に出来た米粒ほどの腫瘍は
細胞を溶かして ....
血管を流れる血のように
岩を滑る垂水が
ぼくの中に流れていたころ
ときどき 桃が流れ着く岸辺で
老女が野菜を洗い米をとぎ
男の子が笹船に乗って
都の方へ出かけて行った

川の畔の小さな ....
団地の狭い庭に桃を植えて
安くて新鮮な桃を食べようなどと
欲を張ったのだが
日当たりは良くないので
おいしい実がなったかどうか
それも分からないまま…

たっぷりの肥料と 
水やりをし ....
今年の冬は
何時もの細長い島へ避寒に行くのよそうかな
島で 子作りするでもないし
このあたりでも河面も凍らなくなったし 
餌の小魚も採りやすいし

あの島の平地にはニンゲンの巣が広がって
 ....
Lucyさんのイナエさんおすすめリスト(99)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
日光三猿- イナエ自由詩10*15-1-21
言葉の切れ味2_迷刀たち- イナエ自由詩14*15-1-7
あなたは…- イナエ自由詩12*14-12-25
母の胸- イナエ自由詩13*14-12-20
冬の金魚- イナエ自由詩16*14-12-15
言葉の切れ味1「みんなが」- イナエ自由詩8*14-12-13
棚から…_- イナエ自由詩8*14-12-3
橋・渡らない- イナエ自由詩10*14-12-2
心象__- イナエ自由詩18*14-11-26
睡蓮- イナエ自由詩9*14-11-23
能面- イナエ自由詩11+*14-11-19
腹の中- イナエ自由詩11*14-11-9
- イナエ自由詩11*14-10-22
窓を開ければ- イナエ自由詩7*14-10-8
挽歌- イナエ自由詩11*14-10-2
湖底幻想- イナエ自由詩11*14-9-28
ドライアイ- イナエ自由詩12*14-9-15
水平線- イナエ自由詩20*14-9-15
認めない- イナエ自由詩21*14-9-9
はて?- イナエ自由詩9*14-9-6
何となく後ろめたい時- イナエ自由詩15*14-9-3
写真嫌い- イナエ自由詩9*14-9-1
.…のために- イナエ自由詩11+*14-8-28
かかと歩き- イナエ自由詩17*14-8-9
オセンエキ_あるは_過去に作られるべき詩_- イナエ自由詩10*14-7-9
シロクマ兄弟_−旭山動物園ー- イナエ自由詩10*14-6-29
喪失ー友へー- イナエ自由詩15*14-6-26
ボクの中を谷川が流れていた頃- イナエ自由詩15*14-6-24
夢を食う- イナエ自由詩19*14-6-19
アオサギ独語- イナエ自由詩9*14-6-12

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