目的などなかった
最寄りの寂れた無人駅から
たまたま通りすがった赤錆の列車に乗った
血の乾いた衣服はぼろぼろにほつれ
おそらく僕はひどく青ざめた顔をしていただろう
幸いにも乗客はほかにいなか ....
  西瓜の種をどこに飛ばそうが、自由だった。
  あの頃は、どうでもよいことなど一つもなかった。

   電信柱が眩しく そそり立っていた。

     *

    下水処理場を通り過 ....
私に青が混じっているなら
何色でもいい
それは
荒れ狂う夜の海だったか
静かすぎる夜空だったか
それだけ
教えてくれよ



本当は水をよく含んでいたことくらい
あなたにもよ ....
 
 
 
朝の海の喧騒のなかでもはや鳴いているのは鳥の「歌」
わたしたちの歩みはひとつひとつ喪に服すようにもろく
少しずつ衰えてゆく明日軋るのはどんな歌か
昨夜あれほど快活だった暖炉の炎 ....
あおぐ うちわ
木漏れ日 舞い
ついばみ 鳴く 白い雲

腰掛けて 揺れる
飲み散らかした花びら
風爪 斬り 羽織る
草の夢 露の戸

繰り言 湿るサンダル
絡む炭酸 甘く 指に
 ....
あーさー
起きてウナギが足元でぬめってる
ウサギが洗面所で顔を洗ってる 笑ってる
トイレに先入られる
ウサギ待ち





 聞こえるのは日付と曜日
 それもよくわからない ....
 
 
 
{引用=(いま、

すこしだけ
銀の傾斜を孕んでください、)}



ください、
と口にすればそれからが暴食
窓際に一列に並べられた人影が
ひとりずつ喪われてゆく ....
また新しい朝をもらって

水をやりすぎても花は枯れ
日照り続きでも花は枯れる

足跡を残すために砂浜はあり
足跡を消すために波が追いかけてくる

有る ということについて
猫の前足の ....
鋼色の花が咲く
上も下も砂で覆い尽くされ
緑色のうめき声が
下腹部に響き渡る
それはちょうど
ベートーヴェンの第九のメロディと酷似していて
私はその暴力的な歓びに満たされる

右手を失 ....
僕は、路上に寝転がっていたよ
空から雨が降ってくるから
口をあけて 流れ込むに まかせていました
猫も近くにいたよ 茶色のぶちの
かあいいやつね へへ

何を言ってるんだ 俺は
何をふざ ....
裏庭に捨てられたロボットの
90バイトプログラムから
この宇宙は生まれた

炭素 窒素 水素 雷 宇宙線 マグマ

あなたが森であるために
森である必要はない

海と太陽
 ....
それから、
と いつも
はじまりは
それから、
おだやかに
火葬された赤子の
骨は小指の
爪ほど小さな
鈍い星の
欠片みたいだった
みたいだった
という
あえかなる比喩が
途 ....
赤い匂い、甘い、淡い青

羅針盤の形に姿を変えて木陰で待ち伏せして忘れ去られる、雨蛙になれば此処に居る誰にも気付かれはしないさ

無音で、玄関を、出て行くからそれは確かに、希望によく似 ....
ましろい錠剤を口に含み
ほろ苦い赤わゐんで 胃へ突き落す。
その重みではねあがつてくる悲しみが
わたしをどおしようもなく 涙させるのです。
夜明けを別天地で迎えた
操気質なカモメの
オールドファッションドーナツ中毒の
症状を緩和するために、
蜂蜜酒を使った
サラマンダー式瞑想術の
やり方の書いてある
シルクのドレスを探し ....
   冬の咲きます
   冬の大きな道標
   葉の吹かれます
   風の鳴る園へ
   宇宙人の焚き火
   しみじみと三角座り
   目を閉じて 温もるので ....
西の夜空に

月が置いてあるよ

黄色いオレンジが

おまえの温度のようだ


夜はなぜ来るんだろう

地球のことが分からないから

この世のことが分からないから

夜は ....
ディ・スタンス

心地よいものごとを心地よくするのはわたしの脳みそ
捕まえられない速さで電気信号が駆け抜けて
きみの指は
きみの声は
わたしによってわたしにとって意味を持つ

 ....
一人の、
永遠を殺した、
1900年生まれの永遠を、
一人残らず殺した秒針が、
また泣いちまう、
一秒、
駆け抜ける間に見えなかった事実が、
結果的には、必要だった、
今日死んでいく人 ....
ろくしょう だ


つめたい痛みを
しっている
触れずとも
知らなくとも
夢にみなくとも
しっている


もう銀いろではないちいさなつまみが
いつか銀いろであったことを
だれ ....
僕がかろうじて息ができるのは
君が此処にいるから
僕の呟きは白い息となって空に映る


僕は思考の果てで絵を塗り続けている
僕の世界は誰かにとって難解で・・・
僕は何故難解であるのかを ....
涙をふいてください。
あなたの長い髪を、
ハンカチがわりに、
少女がするように。
お願いだから、
涙をふいてください。
わたしの心臓のために。

私はあなたにキスをする。
私はあなた ....
―白線の内側にお下がりください。

内側じゃダメだ。
是が非でも外だ。

―まもなく…

時計は5秒を切っている。
マークがきついぞ。
冷静になれ。
フリーになれ。

―お下が ....
架空のサボテンの花が、
わたしの目の輝きの、
十分の一を、
忘れ去られた、
灰色の波にぶつけている。

雪が降る、暗黒の谷を歩く。
錠剤のような愛に、
わたしの膝は震えている。
キッ ....
ワスレナグサの風が吹く、
雷の領域のなかで、
私はあなたを作らなければならない。
最初の溜息はときに、
天性のその鞭で私の魂をなめる。
音を立てず、逃げ出し、
それから私は一度振り返る。
 ....
四人が互いに背を向ける
司法に背いた心が
支え合い

「認めないのだぞ。」

鉛の鼠は、そらで掴める!
かような期待が背中押して
四人は別々の方へと力強く歩む
これが
彼らの支え
 ....
砂浜から逃げつづけて水滴は山奥にいる
そして逆立った木々の幹を傷つけて
樹液を出しつづける

万象は敵情を視察する、
笑いながら連呼される木霊が
掻き消されるまでの残響が
おわったときの ....
野球帽を2つ繋げて作ったようなブラジャーが台風の中心で
気圧は952ヘクトパスカル
そいつが僕の頭の中にいる


今日の朝食に出てきた目玉焼きの目玉が2つだったのは
あのブラジャーの影響? ....
白い
湖の上に立って
寄り添いながらじゃれては離れる
二匹の犬を見ていました
灯台の麓では、おじさんが夕暮れの写真を取っています
私に気づくとレンズが光りました


孤独が

 ....
とある夏の夜
遠い遠い荒れ野の果て
深い枯れ井戸の底におりました
光が射し
闇が訪れ
幾日たったのかわからなくなったころ
星が ふるふる震えながら語りかけてきました

私は寂しい こち ....
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