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カップがソラだとしたら
コーヒーが注がれて
夜が来る

苦い夜がニガテであれば
ひとすじのミルクが注がれる
銀の匙は使わない
やがて白い雲は 時間に溶けてゆく 

どこかに月が隠れて ....
胸の中に生まれた種子に密かに雨を降らせる

晴れた昼下がりに教室を抜け出して光を与える

水槽から逃亡して肺呼吸を取り戻せ

摩擦による熱で発火 ノロシ

発芽に必要な条件を満たしてい ....
枕元に
吾輩は目覚まし鳥を飼っておる
朝六時
けたたましくそいつは鳴く
日に ひとたびしか鳴くことが叶わぬゆえ
遠慮などこれぽちもしない

起きなければならぬ
なんとも理不尽であるが仕 ....
記憶はなにを食べて生きながらえているのだろう

指先から冷えていくのを彼女はまだ気づいていない

埃を吸ったあとの掃除機をそっと抱きしめる

モーターの余熱が伝わって やっと明日につながる ....
本当の自由を求めて空を見る

名も知らぬ黒い鳥が
隊列を組んで空を渡っていった

翼があるから自由でいいねと
そんなふうにつぶやくのは
自分の翼で空を翔んだことがない人間が想うこと
あ ....
どこにも代わりのない
私だけの詩を描いてみたい
心のなかのもやもやがそう言う

私という存在が唯一無二のものならば
出てくる言葉もそうであるべきなのではないか
そうではないということは
 ....
葉書は、
白い壁の長方形の紙の家
うすい、
厚みしかないためにひとりで立つこともできない家
寝転がったまま まだ見ぬ遠い街を夢みているのだろうか
小さな窓がある
そこに灯されるのは あかり ....
みずたまりに映ったあなたの顔を風がゆらす
泣いているようにみえた
笑っていたのに
時のひずみに落ちた時 泣きたくなるのはなぜだろう

水は知らぬまに何処へか蒸発していく
最後に残った泥のよ ....
最後の猫が死んだ
冬の夜に

耐え切れなかったのだ
冬の孤独に

私は春の真似事をして紙吹雪でとむらう
おまえにみせてやりたかったよ

桜が舞う空を
せめてこの世の美しい絵空事を
 ....
心のなかに埋まっている この磁石が 
引き寄せる

たとえばそれが砂漠に転がっている石ころだろうとも
たとえばそれが海を漂う明日をも知れぬ泡だろうとも
たとえばそれが誰も見向きもしないような ....
ふりだしはかろやかにはじまる

 雫が落ちてきた
 まどろんだ鼓膜の扉をたたく音
 あれは雨の歌
 いたづらに
 たのしげに
 むてっぽうに
 今日というちっぽけな空洞を響かせる

 ....
冬の夜
わたしのうでは母に貸すものと決まっていた
ほどかれたセーターの毛糸の輪を
うでに通してかかげていると
母はそのはしをくるくると巻き取って
毛糸玉を作る
単純な作業は退屈で よく居眠 ....
雨上がりの朝 音楽会は終わり あたりは拍手のように光っていた

──終演

濡れた落ち葉は閉じられた楽譜 土に還る日を待つのだろう

    ──静謐

鳥は何の疑問もなく冬へと向かう ....
夜汽車の音を聴きにいく
眠れぬ夜のなぐさめに

長く尾をひく汽笛
行く人のさよならのように

旅のゆくえを指し示す
線路のむこうは闇に溶けている

行かない者のさみしさを
私はぼん ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて

秋の沸点はとても低い

燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
海に心を映してみれば
おんなじだよと
波がいう
満ち足りぬ
満ち足りる
くりかえす 
やさしい
さざ波
わたしのなかに泣き女が棲んでいる
彼女はただ静寂なかなしみだけの世界にいる
声も持たずに泣いている
泣くという行為が彼女の全てであるように
花よ、咲くなと泣いている
花が、咲いたと泣いている ....
晴れた日曜日に車を走らせれば
道々に白いけむりが立ちのぼっている
枯葉を燃やしても
人を燃やしても
家を燃やしても
出せなかった手紙を燃やしても
その煙の色は白い
かたち在るものは
燃 ....
引越しの朝は
言い換えれば
旅立ちの朝

窓を開ければ梨畑が広がる小さな部屋であった
季節が巡れば白い花が再び咲くことだろう
春の雪のように
ほんの仮住まいといえ
思い返せば数年の愛着 ....
晴れた日に口紅を買う

いろいろ遠回りをしたけれど
やっと自分に似合う色をみつけた

女はもともと紅い口紅をつけて
生まれてきたのに
日々の雑事に追われて
いつのまにか
それは色あせ ....
日曜日 うっかりペットショップをのぞいてしまう
生まれたばかりのかわいい仔犬が
ガラス越しにじっとわたしをみつめてくる
さっきまで泣いていたかのように黒い瞳が濡れている
この人はここから連れ出 ....
横向きで寝る
いっさいの灯りを消しても
消せないものが浮かんでくる
まぶたを閉じても
眼球が光のない世界で動くように
スイッチを切ったつもりでも
同時にもうひとつのスイッチが押されている
 ....
夕刻の道
ヘッドライトをつけると
うす暗い未来に
灯りが
ともる

おまえのゆくべき道は
目の前にあるではないかと
指をさすように

向こうからも
ふたつの光の輪が
あらわれて ....
なでられて
ほおずりされて
よるはおなじふとんのなかでだきしめられて
ときには はらだちまぎれにほおりなげられて
なみだやよだれをつけられて
それでも
きみはいつもわらっていた

きみ ....
 人の爪の根元に、白い浮島があることを知ったのは小学生の頃。

「これね、大きいほど元気な証拠なんだって。病気になると薄くなったり、小さくなったりするらしいよ」
 友達から教えてもらったなんの根 ....
秋の
おだやかなひだまりを選んで
猫が
優しいけものの形で眠っている
堅いボンネットの上で
その寝顔はとても気安く
しばし駐車場で私もうたたねをする

ほんとの君の正体は
西方白虎だ ....
夜を渡ってくる
飛行機のために
夜毎、灯りがともされる

ここへ舞い降りよと
目印となって誘導する

人はなぜ
夜を渡りたがるのだろう
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている

暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする

時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く

わた ....
冬の朝のフローリングは
薄い氷が張っている

朝一番に起きて
冷たい氷を踏むのは私の役目
ぱりんぱりんと音をたてて割り
かまどに火を入れ朝食を作る

陽が昇り
村人たちが起きる頃
 ....
コーンスープを飲むころには
カップは既に熱さを失い
一気に飲み干せば
底に
意地悪く溶け切らない
塊がある

底に
溶けてはいけない
塊がある

底に
許さなければいけない
 ....
夏美かをるさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(537)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
朔_或いは静かな底で- そらの珊 ...自由詩2612-12-6
ゴールド_レクイエム- そらの珊 ...自由詩712-12-5
吾輩はペットである- そらの珊 ...自由詩1212-12-4
自家中毒- そらの珊 ...自由詩16*12-12-3
胡蝶の夢- そらの珊 ...自由詩2112-12-1
アルビノ- そらの珊 ...自由詩17*12-11-29
紙の家- そらの珊 ...自由詩21*12-11-27
水鏡- そらの珊 ...自由詩10*12-11-27
絵空事- そらの珊 ...自由詩1712-11-23
磁石- そらの珊 ...自由詩21*12-11-21
雨粒- そらの珊 ...自由詩1212-11-20
ふゆのうで- そらの珊 ...自由詩23*12-11-16
冬鳥- そらの珊 ...自由詩2012-11-15
夜汽車- そらの珊 ...自由詩1912-11-13
- そらの珊 ...自由詩23*12-11-9
さざ波- そらの珊 ...自由詩1912-11-8
泣き女- そらの珊 ...自由詩1612-11-6
白いけむり- そらの珊 ...自由詩14*12-11-5
つばめよ、つばめ- そらの珊 ...自由詩17*12-11-2
ポム・ダムール- そらの珊 ...自由詩14*12-10-31
ペットショップで- そらの珊 ...自由詩1512-10-30
夜へ- そらの珊 ...自由詩20*12-10-29
ヘッドライト- そらの珊 ...自由詩13*12-10-27
ぬいぐるみ- そらの珊 ...自由詩8*12-10-26
浮島- そらの珊 ...自由詩14*12-10-25
うたたね- そらの珊 ...自由詩6*12-10-24
航空灯火- そらの珊 ...自由詩1012-10-23
擬似世界- そらの珊 ...自由詩16*12-10-22
冬の朝のフローリング- そらの珊 ...自由詩20*12-10-19
- そらの珊 ...自由詩612-10-18

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