庭にいるのはだれか。 (エステル記六・四)
  妹よ、来て、わたしと寝なさい。 (サムエル記下一三・一一)



箪笥を開けると、
──雨が降つてゐた。

眼を落とすと、  ....
              じっとしていろ
子供のころはよく言われた
      じっとしているのが苦手で手脚が     鶏
                        僕  みたい
 ....
汚れた指で、
鳥を折って飛ばしていました。

虚ろな指輪を覗き込むと、
切り口は鮮やか、琺瑯質の真っ白な雲が
撓みたわみながら流れてゆきました。

飛ばした鳥を拾っては棄て、拾っては棄て ....
いつから、

あそこにゐるんだらう。

日溜まりの向かふに、

声がする。

日溜まりの向かふに、

声がする。

わたしの声だ。

それは、
 ....
 あの……おれ、夢見るんですよね、海の。ときどき夢のなかに海がでてきて、おれはサーフィンやってるんです。でっかい波にのってると、そのままヒューッて空に飛んでっちゃったり……あと……パイプ・ラインのなか ....  俺が先に見つけた
       緑
       の
    たぬき
       が
 そこに居て
 4分待ったよ
 あと少しで
       捕
       ま
      ....
 真夜中に点灯した冷蔵庫の奥であらゆる向きに齧られたチー
 ズケーキが発見された\反射的にわたしもかじりつき\素早
 く体温を加え咀嚼を開始\ねっとりうっとり\うまれるチー
 ズケーキのかがやき ....
夏の夜空に
打ち上げられた花火を
僕の車輪にして

遠く離れた
君のいる場所まで
漕いで行く

群青の草原を
駆けて足りるなら
炎の縁に
君を飾りたい

花火が街を照らす間に ....
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
曲げた躰をハートの形に触れ合わせ
あおく短い空を翅ごとに掴む
 (静かに震えながら)
何を見ている
何を感じた
 (水と血が滲じむと)

小川に沿って気流が乱れ
深い茂みが盛り上がる度 ....
浅すぎて溺れられないソーダ水
溶けてゆく足元に夢 匂う飴
別れぎわ 裸足になって踏む花火
 空っぽのランドセルに
 かなしみをカタコト鳴らしながら
 工事現場は夕暮れの渦につつまれる
 瞳が裂けた子をひとり
 ひかりの膜にとり戻す
 想像上の友だちは
 会いたい気持ちを反故にさ ....
心ない
際どい言葉
辞書を引き
優越感も
ない
辞書詩人

辞書詩人
海馬の中の棚にある
砂浜
波の
音に
埋もれて

*

Inkweaver
この二重短歌は、 ....
電気ポットの内側に、「ここまで」という表記があり、いつもそのずっと手前までしか水を入れられない。なぜきちんと水を満たさないのか、と言いながら、夫がコップから水を注ぎ、ぴたりと「ここまで」に合わせて .... 渋柿の文月俳誌雨読の日

災難は一秒の差や夏豪雨

果樹の葉の宙に揺るるや蜘蛛の糸
目の前に一本の道が現われた。

この道を行けば、海に出る。

ほら、かすかに波の音が聞こえる。

見えてきた。

海だ。

だれもいない。

天使の耳が落ちていた。

 ....
 
枯れちまった海で

魚は息はできない

また涙で溢れるまで


 
 手をコピーする。左手をコピーして、右手を
コピーする。腕をコピーする。左腕をコピーし
て、右腕をコピーする。顔をコピーする。光を
見ないように、目をつむってコピーする。肩と
胸をコピーす ....
夏陽がじっくりと焦がす
白い坂道の曲がり角
大樹の木陰、繁り合う枝葉
セミの声
見上げる少年と虫捕り網

身体を揺らしながら
爪先立って手を伸ばす少年
ぼくは坂を下り  ....
つい、さきほどまで
天国と地獄が
綱引きしてましたのよ。
でも
結局のところ
天国側の負けでしたわ。
だって
あの力自慢のサムソンさまが
アダムさまや、アベルさま、 ....


どの、骨で
鳥をつくらうか。

どの、骨で
鳥をつくらうか。

{ルビ手棒=てんぼう}の、骨で
鳥をつくらう。

その、指は
翼となる。

その、甲 ....
I あがないの子羊



I・I 刺すいばら、苦しめる棘


その男は磔になっていた。
目は閉じていたが、息はまだあった。
皹割れた唇が微かに動いていた。
陽に灼けた身体をさらに焼 ....
 コーヒーを飲み終えられたベルゼバブさまは、机の上に置かれたアルコールランプを手元に引き寄せられると、指を鳴らして、火花を発して火を灯されました。すると、ベルゼバブさまの前に坐らされておりました老人が ....  
 ボードレールの作品世界に通底している美意識は、詩集『悪の華』(堀口大學訳)に収められた詩の題名によって捉えることができる。たとえば、「不運」、「前生」、「異なにほひ」、「腐肉」、「死後の悔恨」 ....
もう もどっては こないよって

あいつは いった

ぼくのことなんか ほっといてよって

あいつは いった

ツチノコ ツチンコ シタリガオ

また どこかで会えるって? ....
アハッ


雨のなか、走ってきたよ

出された水をぐっと飲み込んで

プロポーズした

でもきみは

窓の外は目まぐるしく動いているから

せめてわたしたちはこのま ....
翼はあげないよ
と鳥がいった

人は進化の頂点ではないし、そもそも退化かもしれないので

と考えている間にも世の中は刻々と変化する
美味しく生きよう

昼前は肌寒かった
ごろごろしな ....
 その日の空は画用紙に、水彩絵の具の青を薄めに溶いてから
 ほんの少し白を混ぜて丁寧に塗った様な色だった。
 山裾を走る県道の側に建つ総合病院で、予約の外来診療を終えた僕は
 急な傾斜が緩やかに ....
これは詩というか散文というのか、(書き)つつも迷ってしまうのだが、
、というのも僕は何人かの詩を読んで気持ちわるい、あるいは~わり~いよ、とか過去にコメントしたことがあるのね。ごめんなさいね。そ ....
いますこし
あなたのかたわらで
あなたのつくる木陰に
わたしをやすめさせてください

かつて
あなたから遠く
遠くはなれていったわたしを
あなたの幹にもたげさせてくだ ....
宣井龍人さんのおすすめリスト(2595)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
陽の埋葬_- 田中宏輔自由詩11*23-10-30
やじろべえ- アラガイ ...自由詩15*23-9-4
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩13*23-9-4
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩11*23-8-14
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩13*23-7-10
声どろぼう- 野澤 尚 ...自由詩223-7-9
チーズケーキとリルケ- soft_machine自由詩11*23-7-8
車輪の詩- ミナト ...自由詩6*23-7-5
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
蜻蛉- soft_machine自由詩523-7-4
花火- はるな川柳323-7-4
ある日- soft_machine自由詩423-7-4
辞書詩人- 足立らど ...短歌3*23-7-4
メモ- はるな散文(批評 ...723-7-3
降りつづく雨- けいこ俳句4*23-7-3
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩13*23-7-3
- 殿上 童自由詩4*23-6-26
コピー。- 田中宏輔自由詩14*23-6-26
坂道と少年。- 田中宏輔自由詩12*23-6-19
メシアふたたび。- 田中宏輔自由詩11+*23-6-12
骨。- 田中宏輔自由詩13*23-6-5
黒い光輪。- 田中宏輔自由詩10*23-5-29
ベルゼバブ。- 田中宏輔自由詩12*23-5-22
『斎藤茂吉=蠅の王(ベルゼバブ)論』。- 田中宏輔自由詩12*23-5-22
ツチノコ_ツチンコ_シタリガオ- 田中宏輔自由詩11*23-5-15
RAIN_SONG。- 田中宏輔自由詩15*23-4-3
日曜日は、春だった。- 空丸自由詩923-4-2
白椿- リリー自由詩9*23-4-2
不気味さの正体- アラガイ ...自由詩9+*23-3-29
いますこし、あなたの木陰に- 田中宏輔自由詩22*23-3-27

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