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            万物が一つの花ならば
            誰が愛でてくれようか
            蕾のままに枯れて逝く
            誰が涙を流すのだろう
     ....
ロマンチストはどの時代にもいる
ここにも一人

彼はインチキ古物商と素人骨董愛好家の一人二役だ

誰もが経験するようなありふれた出来事を
時を超えて微笑みかける
運命という名工の作として ....
 垂直な光のピンで留められて
 横たわる朝は散乱した昨夜の屍だった
 まだ誰もいないスーパーの駐車場で
 ぬるい風が砂埃を吹き上げている
 
 一匹の小さな蛾が
 逆らいながら飛んで行く
 ....
石で打たれるような
犬に追い立てられるような悲しさに
居ても立ってもいられなく
ただただ早く帰りたかった
日没に向ってひたすら走り続けた


貝のように固く握りしめている
決して手放し ....
日傘を差した女の影が


歩道の凹凸を滑って行く



            踵を返す青い熱帯魚
            フルートの鋭い閃光
            アイスピックを ....
夢から覚めると
午後は陽炎の中 寡黙に佇んでいた
翻る あなたの影だけが冷たい魚


見も知らぬ者同士 これが
いつかの夢ではないと言えるでしょうか


ひび割れた心象が決壊する時
 ....
  さくらんぼの花が咲いている
  うっすら目を閉じ微笑んでいる
  ソメイヨシノのような艶やかな色香はない
  浮世を忘れようとその下で酒宴を張る者もいない
  白く清楚なその花は
  ....
北国に桜が咲いて幾日も経たず
昨日突風が吹いて花びらを散らして行った

今朝 桜は冷たい雨に濡れそぼち
うつむき滴る 運命を受け入れつつも

儚げな美しさを愛でる者が
その色香に誘われて ....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
インターホンの向こう
奥さんの返答が聞き取れなくなる
営業妨害の嫌なサイレンだ
気がつけば風にのって煙の臭いが満ちてくる
ますますサイレンが近づいて来た

    火事だ!

道路向か ....
     四月  灰色の午後
    
     湿った雪が舞っている


    人生で何度目のことだろう
   
     心は鉛の錨となり

    失望の海に深く下ろされてい ....
あなたは
黒いショールの隙間から
少しだけ
見せてくれた

嘘も真もなく
構えもせず
力を抜いて
雲間の月のように

鉄筆で深く
刻まれた詩
人生の一片一片
散りゆく時を知り ....
吹き荒ぶ二月の夕刻
山裾の疎らな住宅を
訪問営業でまわるのは
 実に 切ない
長靴ギリギリの雪をこぎ
通りから玄関までの細道を通りぬけ
もはや顔面がかじかみ
鼻水が垂れている感覚すらない ....
たとえば
あなたが
一つの詩を書こうと思い
想像力は創造力と変わり
詩作の情熱があなたを捉え
刀鍛冶が真っ赤に熱した鉄を打つかのように
ひと文字
ひと文字
キーを打ち
一つの詩
一 ....
まだ
誰一人として
踏みしめてはいない
ふわりとした新雪のままの
土手に重なって 遥か遠く
超然とした白雲が広がり
それを 微かに淡い
冬の空がつつんでいる

こがね色の午後の日差し ....
今しがた
ひとつの詩を投稿したのですが
後から湧き出てきた
良心の呵責に
削除してしまいました
ロシアの宇宙船が落ちてくるという
ニュースに思わず笑ってしまい
皮肉った詩らしきものを書い ....
あなたという詩集を読む
ページをめくるごとに
あなたは姿を変える
それは紛れもなくあなただ

湖面に張った氷の下で
微かにあなたの体温を感じている
あなたはぼくをぎりぎりまで追い詰める
 ....
政治に詳しいわけではない
選挙も行ったり行かなかったり
本当は行かないことが多かったけれど
ラジオで聞く国会中継は
結構好き

政治家は同じ演技しかできない
その劇場でしか使ってもらえな ....
心の奥底から
ぼこん ぼこん 
呻くように
呟くように
一つ 
また一つ
上がってくる
白いあぶくを
押しつぶす
日々の生業に
心を添わせようと

外側は
辛うじて
規格品 ....
アマゾンの絞殺し屋といえば
大蛇アナコンダを思い浮かべるかもしれないが
本当はもっとすごいやつがいる
アマゾンのイチジク
それはジャングルの生態系を支える基幹植物のひとつ
細く弱々しい姿で巨 ....
濃い雲と
薄い雲のはざま
群青の帯に寝そべる
    鋭利な月は

おりしも上ってきた
小さな求愛者の瞬きに
   あくびで応える
こんもりと雪に覆われた朝
夢中でついばむすずめたちは
埋もれることもなく
枯草を折ることもない
だがまんまるの愛らしさは鋭い冷気への対抗
食糧不足は天敵も同じ
生きることは戦い
いの ....
凍えるような



遅刻の崖から身を乗り出し

思う

湯たんぽこの身にくくり付け

布団の海に

身投げしたい
いつものように仕事をしていた
アパートの郵便受けに貼られた
よくある 空室 の文字をなぜか
一瞬  そら室 と読んでしまうと
ドアの向こう せまい間取りの境界が
ぼんやりしてきて 真っ青な空 ....
  冬の陽ざしは微笑みのよう
  内にこもった人にさえ顔を上げさせる

  たわわに実ったナナカマドの木の下を
  赤いランドセルがかけてゆく
 
  もしも私に娘がいたなら
  こんな ....
  疲れがたまってくると

  虚しい夢が多くなる

   また一つ 生まれては

    滅んでゆく世界

  砂の城に波が打ち寄せるように

  香のけむりが描ききれなかっ ....
  傷だらけの携帯電話を見ながら
  明日のことを思いめぐらす
  不利な戦いになる
  このまま今日が続くなら
  
  偶然とは理由がわからないだけの必然
  真夜中に白い氷が降りはじ ....
石田とわさんのただのみきやさんおすすめリスト(147)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
____________夕日のように微笑んで________ ...- ただのみ ...自由詩26*12-9-18
ろまんちすと- ただのみ ...自由詩16*12-9-5
僕が君を一匹のみすぼらしい蛾に譬えたなら- ただのみ ...自由詩24*12-8-9
空っぽの手のひら- ただのみ ...自由詩21*12-7-5
白昼夢- ただのみ ...自由詩25+*12-6-19
心の向こうで絵を描いているあなたへ- ただのみ ...自由詩36*12-5-28
母の日に- ただのみ ...自由詩18*12-5-12
悲恋- ただのみ ...自由詩11*12-5-4
黄金の花嫁- ただのみ ...自由詩28*12-4-22
その笑顔が忘れられなくて- ただのみ ...自由詩14*12-4-16
__尽きぬ恵み- ただのみ ...自由詩20*12-4-7
尊敬をこめて- ただのみ ...自由詩12*12-2-8
かまぼこ型_どんぶり型- ただのみ ...自由詩19*12-2-2
それはもっとも根本的な問題なんだ- ただのみ ...自由詩6*12-1-26
美しいものは流転する- ただのみ ...自由詩12*12-1-19
削除の理由- ただのみ ...自由詩10*12-1-15
あなたという詩集を読む- ただのみ ...自由詩20*12-1-12
あんまり政治家たちを責めないで- ただのみ ...自由詩8+*12-1-9
この海は深く呼吸する- ただのみ ...自由詩12*12-1-8
しめ殺し屋- ただのみ ...自由詩7*11-12-28
いつもそうなんだ- ただのみ ...自由詩5*11-12-27
MISSION- ただのみ ...自由詩32*11-12-25
投身自殺- ただのみ ...自由詩11*11-12-11
そら室の啓示- ただのみ ...自由詩16*11-12-5
もしもわたしに娘がいたなら- ただのみ ...自由詩7*11-11-30
虚しい夢は消えてゆく- ただのみ ...自由詩7*11-11-28
今日という日は死ぬけれど- ただのみ ...自由詩12*11-11-27

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