草が夏を繰り返している
雲になることを空想していた少年は
九九の練習を終えた後
空港事務所の職員になった
苦痛ではない、けれど確かな痛みが
暮らしの中、靴にも降り積もっている
空気 ....
存在の孤独が
冷たく露わになるこの夕べ
雨滴は石を穿ち
震える胸奥を
抉るように流れ落ちる

ぽっかり深淵が口を開く
ぽっかり深淵が口を開く

遠くふるさとの汽笛が響き

わたし ....
もっと散歩にいきたかった
もっと抱いてあげればよかった
もっと話しかければよかった
もっと贅沢させればよかった
もっと遊んであげればよかった
もっともっと一緒に

朝に夕に
百万回名前 ....
春の喜び、
夏へのあこがれ、
秋の憂愁、
冬のさびしさ

時は過ぎ去り
季節は巡る
人生は進み
垂直に落ち

わたしのいない、春夏秋冬
一輪の花がゆっくりと、蕾を開く、宵の夢 
創造のわざは、私のなかに働く

私を支える茎は背骨、密かな光合成をとめず
今日もわずかに、背丈を伸ばそうとしている

たとえまだ、日の目を ....
寒さは
指の先から入り込み
肩へ
背中へ
そして足先へ

もう何も燃やすものがない
闇の他にはなにもない世界で
やがて闇と同化する

薄くて透けそうな
パラフィンカーテンよ

 ....
雨が降る
夜更けの街に
濡れていく
ひたすらの闇
広がって
向かいの家に
点る灯り
故郷のように
懐かしく
忙しく動く人影が
家族の居場所を
教えている

ひたすらに
広が ....
{引用=忍路・蘭島}
翡翠と書いてカワセミと読む
そんな宝石が飛び去る刹那の後姿を
有難い気持ちで見送った

3500年前の環状列石は
見かけも手触りもありふれた石
そりゃあそうだろう
 ....
女のお尻は男よりも丸い
僕に耐えられぬ、痛みをも知るひとよ
あのなかにはもしや
青い小さな惑星が回っているやもしれぬ
僕たちは妄想を充分に知ってしまった
僕たちは世界中の女性に憧れてしまった

僕たちは愛されない苦痛を知っている
僕たちは自分であることにときどき疲れてしまう

自分の番地を持たない君とは友 ....
思考が蠢く
蟻塚に居るかのよう
思考は生きて息していて

感覚を楽しませるために!生きている
感覚を楽しませるために!生きている
そして抜け落ち墜落していく
そして抜け落ち墜落していく
 ....
今年の正月に
「今年は俺たちは大厄だぞ!今年生き延びたらしばらく大丈夫だそうだ!これから俺たちは生き比べだぞ!」
と電話してきた親しい同級生が
突然脳出血で倒れた
右手右足と言語に重い後遺症が ....
身体感覚に素直に従って生きてゆきたいのですね
回答の得られない食べきりサイズの人生でもそれでも

新たな無限のドアを自ら鎖してしまわないように
太陽が遍照する微妙なバランスの不自由にありがとう ....
眼下の川では子供たちが裸ではしゃぎ
遠く茶褐色の岩峰が冷たい灰色の空を背景に連なっている

僕はゆらゆら揺れる色褪せた肌色の廃棄バスの屋根の上
何とかバランスを取りながら何度も落ちかけ
終に ....
暗い風が吹いた
濃くあかるい夏空の下を
暗い風が吹いた

暗い風が吹いてもなお
夏空は濃くあかるく
白くかがやく雲を湧き立たせた
蝉たちは鳴き 鳴きやめ また鳴き
鬼百合 向日葵 百日 ....
夜明けに立つけだものが
空を掴んでは離している
虹の足音
虹の足音


月は森に居て
径は光に流され
まぶたは眠り
さらに 昇る


何もない昼の空
 ....
水源と柔らかなことばにめぐりあう
船の舵取りは水辺の花を想いながら

いくつになってもできないものはできない
今更のようにはぐらかして過ごそうか

永くゆっくりと関わってゆく事は大切だし
 ....
光に貫かれ
すべてが踊り出す
この八月、
白い波しぶきを浴びながら
旅人は麗らかな海辺の街をいく

静かに客人を待つ庭先には
石と薔薇、石と薔薇
石に刻み込まれた眼は
鬱屈を宿しなが ....
生活に芯というものがあるとしたら
花を挿していなければいずれは緩んでくるものだ

日々の心のゆらぎは錆びた弦楽四重奏
山巓からの水脈が生をうるおしているのならば

堕落した駱駝は回文好きだ ....
逃れ去っていく
逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
 
 失われた薔薇の花と団欒
 終わった関係と更地
 虚脱の時を刻む秒針

静まっていく
 ....
昨年のこと
とある詩のコンクールの審査を依頼されて
はい、はい。と気軽に引き受けた
どうせボランティアなんだから
身構えるほどの責任もないだろうし
兎にも角にも
年金詩人は暇だったのだ
 ....
縁側に座り西瓜を食べながら
その黒い種を口から飛ばす
黒々として立派な弾丸は遠くまでよく飛んだ
白くて未成熟な種は気がつかずに食べてしまったかもしれない

夜、蚊に刺されたあとをかきながら
 ....
劇場が閉まって帰路に着く

幕が降りても人生は続く

意味もなく価値もなく理由もなく人生は続く

それでも一度灯ってしまったら消えない明かりがある

人生が終わってもまだ消えない
 ....
夏は静かな川遊び
彼岸に逝く人
此岸に来る人

水の流れは絶えずして
海の潮を落としては

彼岸から此岸まで
川から河童もやって来る
碧天の月、
祈り続ける意志

巌は翳り
雨は降り
濡れて天に
戻る時

煌々と月、
澄みわたる
無限につらなってゆく世界の果ての階段を
親しげな不条理とうでを組んできみがのぼってゆく

いつもおもうけれど
宇宙のなかの点にすぎないのに
点には面積がないのに
線にも幅がないのに
ぼく ....
キミがそこからいなくなっちゃったので

今はそこにキミのりんかくが幽かにあるだけだ


キミが笑っていたときの

泣いていたときの


壁紙には昔飾ってた額縁の

柱にはねじ巻 ....
強い人に力を見せつけられ
弱い人に夢を見せつけられた
強い人から見たぼくは弱い人に見られ
弱い人から見たぼくは強い人に見られる
ぼくは強いわけでも弱いわけでもない
いたってふつうの1人の人間 ....
妹よ 夕暮れの卓袱台にまごころがなくなり説得しか残らないのは淋しい
りかいしないままりようしようとしないでおくれ


日がな
海水浴に
明け暮れる
まだ胸のない妹よ

淡水学派と海水 ....
 夏の空は前触れもなく突然、父親のように厳粛である。たとえばなんでもない昼下がりのこと、自分の影に肩を叩かれ、慄然として立ち尽くす隙に。たとえば空っぽの花瓶に、俯いたひまわりだが、せめて一輪でも飾ろう ....
石田とわさんのおすすめリスト(1485)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
繰り返す夏の- たもつ自由詩823-3-16
名無し人- ひだかた ...自由詩921-12-24
さみしさのトンネル- そらの珊 ...自由詩13*21-12-24
春夏秋冬- ひだかた ...自由詩721-12-19
- 服部 剛自由詩921-12-2
パラフィン- そらの珊 ...自由詩10*21-11-12
雨降る夜に- ひだかた ...自由詩5*21-9-5
玉手箱- ただのみ ...自由詩7*21-9-4
ある夜のメルヘン- 服部 剛自由詩721-9-3
僕たちの- 梅昆布茶自由詩1521-9-1
トビラ- ひだかた ...自由詩521-8-31
孤独- ホカチャ ...自由詩1*21-8-23
旅人のうた- 梅昆布茶自由詩14+21-8-19
無垢と大地(改訂)- ひだかた ...自由詩1121-8-16
暗い風- 塔野夏子自由詩8*21-8-15
左目_この世の果て- 木立 悟自由詩921-8-14
柔らかな疎外- 梅昆布茶自由詩18+21-8-13
八月の光- ひだかた ...自由詩821-8-12
夏の四重奏- 梅昆布茶自由詩1621-8-8
その時その瞬間- ひだかた ...自由詩721-8-3
一次審査のひと- たま自由詩13*21-8-3
西瓜な季節- そらの珊 ...自由詩9*21-8-2
幕が降りても続く人生- 福原冠自由詩121-8-1
夏休み- ひだかた ...自由詩921-8-1
戻り道- ひだかた ...自由詩1021-7-29
さめたコーヒーのうた- 梅昆布茶自由詩1621-7-29
輪郭- 墨晶自由詩6*21-7-28
知らないひと- リィ自由詩2*21-7-26
妹よ- 末下りょ ...自由詩7*21-7-26
孤独- 幽霊自由詩621-7-26

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