「もう無理なんだ・・」 と
電話の向こうですすり泣く男の声を聞きながら
鳩サブレーの袋を破いた。
バターのきゅんと効いたこの銘菓を、私は好きだ。
ぼりぼり。
むしゃむしゃ。
....
あの頃あたしは
モンパルナスの小さなアパートで
クローディアと一緒に暮らしていた。
暮らしていた、と言っても、三ヶ月くらいの間だったけど。
その小さなアパートには、
クローデ ....
あの人に愛された
私の体のパーツ
ひとつずつ
指でなぞっていく
マッチのように
こすったら
残り火は
燃えるだろうか
まだ
私のために
1 2