私にとってあなた
なくてはならない
声すら知らないのに
きっとそのうち
摘みたくなるのだろう
熱い舌の上で
踊るハイボール
知らないままで
恋は堕ちるのです
あなたの
マグカップの
つるりとした空洞の
最深部で
パロールも
道徳も
大恋愛も
なにもかも終わっていた
冬になると
唇が乾くだろう ....
時の器に
夜がすこしづつ満たされていく
眠りついた月の横顔
埋もれた砂時計の砂丘は、はだしのぬくもり
天よりふる砂を見つめては
閉塞されたガラスにふれる
砂の音はや ....
ひと昔もふた昔も前みたいに霜柱立ったり
ちょっとした水溜りに氷張ったりするわけじゃないけど
それでも今どきの朝って起きるの辛かったりする
とりあえずは出かける場所があって
帰ってこれる場所 ....
・
夫があまり鋭く見つめるから
わたしはしだいに削れてゆく
夫と婚姻関係を結んでからのわたしは
もう余程うすっぺらくなったらしい
強く手を握られると
きしゃり と指ごと潰れるから
か ....