川沿いを
髪のながい
女が一人
頭骨によく似た
薄赤い花を
五つ
のせて
乳母車を押してゆく
女がひとり
*
( ....
いま、立方体の中で手足を折り曲げている
きっちり蓋を閉めて 一分の隙もないように
それでもはみ出しまう「私」が漏れ出て
側面を綴りながら、ゆっくり滴っていく
シジン、と名乗っているうち ....
季節感のない親父にも
たまには愁いの時がある
無神経を絵にかいたような
ステレオタイプな日々の
粉を吹いてしまった五感が
たまには疼くのだ
無駄に過ごしてしまっ ....
サツマイモ工場で火災が起きて
町中が秋の香りに包まれた
一週間、焼き芋祭りが繰り広げられた工場前の大通りには
今も皮や食べ残しが転がっていて
野良猫がその取り分を巡って抗争を繰り広げた
僕は ....
つき立てたスプーンは
さながら銀嶺
氷寒は、あまい
あまくて
ぬくい
だれかの失くした王冠と
つとめてしずかな
舌鼓
ありふれた脱ぎ捨て方で
癒しのすべが
....