小さく洩れるアナタの声
頬をつたうアナタの涙
そして、愛がまた溢れる
今朝は 静かな死
白樺の裸体 霧の
視神経 晩秋の匂い
目減りした水瓶に落とす
賽の河原の石のくぐもり
陽射しはそっと後ずさる
魂のほころびから
黄泉の調べ ....
ケンカを始めたら始めるなら片方が死ぬ迄やるべきだし又
中途で仕舞うなら偉そうに大仰な怒号で道をゆく市民 ....
なんてことない不在の言葉に
愛しさを汚されたその時は
無情の荒野にうずもれて
枯れ草毟ってやり過ごそう
なんてことない不定の言葉に
審美眼を汚されたその時は
悲観の海をたゆたって
船 ....
綿毛の海で泳ぐ
後ろ姿を探す
秋の始まる午後に
あたたかさとつめたさの両側から
等しく守られていることを知った
星の人から届けられる
言葉によらない通信を
言葉に変 ....
抱き合うより
見つめ合いたい
そんなお年ごろ
悲しい顔をした岩が
森をのせてつづきゆく
触れると消える
左まわりの虹
指を握り返しそこねた朝に
ふたたび夜を見そめ 見そめる
崖の王国
響きはけして 返ることな ....
ことばに
よじのぼって
泣いたり
笑ったり
しているが
水分を
ひとつも
よこさなかった
好きだ
と言うと
自分の
腕が
抵抗する
ふさわしくない
と
ケーキを
取り落 ....
嘆きを海に投げかけてみた
試練の波が激しく返り
嗚咽をあげた私に
百雷の海鳴りが
怒涛のように
私に叱咤激励を置いていった
せんこうねんの
ほしからは
せんねんまえの
つなみが
みえることだろう
きこえるだろうか
せんこうねんのほしに
わたしたちのこえは
とどかない
まだ
う ....
最新の動物が目を見張る出来で
暗い夜のネオンサインに目を光らせている
ある並行世界のあったかもしれない新宿で
客引きのタキシードの皺が川の流れのようで
ぼくは田舎の水面にゆらめく波紋を思い出し ....
眼鏡をはずした
あなたがかすんだ
笑っているのか
泣いているのか
私にはもうわからない
眼鏡をはずした
足元がかすんだ
指先すら見えない
自分が ....
魚影のない河川
子どもの工場見学
秋空にぎんぶち眼鏡のつがい
おとなの暗い話題
人のかたちを真似るビルと
ビルのかたちを真似る人
沈む色紙の太陽
三角座りのキリ ....
盗撮のsexビデオも並ぶ市場の中
ステルススーツを着た兵隊達が行き交う
人をすり抜け逃げる男の頭に
無数の赤い光の点が集まる
男の周り 我先にと人が逃げ交う
兵士はおもう
追いつめたは ....
鰊が僕の腹を噛む
広い緑一色の海はその砂浜を濡らして星が流れ出す
灯台の岬に押し寄せるアザラシの群れ
低くうなりながら矢が飛んできて壁に付き立つ
それを放ったのは上空に浮かぶ龍だ
雲を呼び雨 ....
夜を吸わないでいると 朝を吐きだせないので
重いまぶたをつりあげて 寂漠のけむりを一本 くわえています
やぶれた羽根 まだ鳴き止まない
みえないおもりを突き刺して
透明な視界のうらが ....
田園は
青空の下で完結している
黄金の海の中
細い糸のように老いた
一人の農夫が稲を刈っているのを
私が妨げようとするとき
もう ....
そこに
動かないものがあったので
蓋を開き
白い花弁や
視線や
高層ビルなどを
挿してみた
動かないものは
動かない
闇を ....
110714
単純な気候に憧れた猫の眼を考案して真空管ラジオに付けてみた
電源を入れるとみるみるうちに緑色に光り、選局する度に眩しそうに瞬く
これは ....
風がつんざいて
熱量をうつして
新しい季節がやってくる
しがみつく指を
切り落としながら
方角をなくして
こごえる鳥
さみしがりの
喉いっぱいに悼む
星をめざして進む歌が
....