隣でだれかが死んでも
予定通りに旅は続いてゆく
人生は旅なのだ
人生はやはり旅なのか
悲しみに傷ついていいのは
たぶん旅びとの俺だけさ
あの時あなたのなかに入っ ....
もうだいぶん昔の話
忘れてしまったけれど時折情景だけが浮かぶ
いつのことだかまだ自転車の速さが一番の心地よさであった頃
どこかにある町だけれど位置関係がもう思い出せない
町から ....
闇を溶かしてながれるナイルの畔にたたずむ
星の光りを映して夜は長い
地中海のあおのために漆黒の時間がある
エーゲ海
アドリア海
チレニア海
イオニア海
....
誰もいない六畳間
頬を畳にくっつけて
夏休みも終わりの午後
八歳の僕は昼寝する
風が簾を通して頬を撫ぜる
うつらうつらしている僕の眼の先には
隣の部屋でミシンを踏む
母の姿がぼんやり ....
麗しい時代は終わって君も魔女になるのだろうか
いまでも充分怖いが
僕は亀仙人にでもなってやり過ごすとするか
ボブディランが時代は変わると歌った
僕は生命は変化だ ....
きれいな夕日を
三人で見た
暮れゆく空にピンクが咲いていた
二度と訪れることのない
今日の夕日
二人が
母との懐かしい記憶として残してくれたらと
そして私は
冥土の土産 ....
きおくも れんが色になれば
なくなるばかりの 公園のベンチは
にじんで消えて ● ●そぼ濡れ枯れる
潮のわかれに ● ●つめたさが湿 ....
闇と妄想は好相性
長い夜を
妄想が食いつくしていく
いく夜も
いく夜もかけて
食いつくして行く
そして
静寂が支配する夜に
妄想は確信へと変化する
白い小さな部屋では
よくある出来 ....