生活感のなかに、だいすきな匂いをかぐ
ゆれるカーテンを抱きしめる
そういうとき、私のなかには
愛しかなくて心細いの


透明な血が流れている
母のお腹のなかにいて
私は目を閉じながら目 ....
亀裂から伸びる欠片の先端から昨夜の雨が祈るように滴っている廃屋の雨樋
海からの風が雲のどてっ腹をぶち抜いたみたいな紺碧の下で
いまだ同じ場所で彷徨い続ける俺の脳髄は一瞬
開か ....
丘の上で
誰かがずっと待っている

青ざめたハイエナの孤独と
袋に詰められた真実が
擦り切れた陽射しに照らされて
まどろみながらたたずんでいる

夏のように暑く
声のように響く
 ....
さくらの歌が
眠りにつくころ
駅がわたしを呼びにくる

路線図上の
きれいな文字は
すっかり古く、穏やかで
長く対峙することが
むずかしい


線路脇には
意味のあるものた ....
ひねくれて咲いた花は
つまらない冗談を浴び
触れない風潮にそよぎ
良く肥えた嘘に根を張った


 罌粟より見開いて
 月よりもあぶなくて
 桃よりも貪欲で
 嘘のようにやわらかい
 ....
(飲み過ぎたコーヒーが尿意に書き換えられて
駆け込むトイレには神話と宇宙を持ち込んだ
窓の奥は 依然として空と山の色が目立っていて
近隣の川だけが 整頓された物音を流しつづけ
その規則正しい行 ....
いなかみちを ふつうに歩くと
つくしの基地があるよね
勘で解るよね 
え わからない? あらそ

スーパーの文房具コーナーを ふつうにあるくと
「こころばかり」という封筒は こわ ....
前に人から聞いた接客の話
コンビニに行く客は店員に無関心を求めるのだという
だからやたら愛想のいい人よりも
少し無愛想な人を雇う方がいいそうだ
(コンビニバイトの面接で愛想がないと落とされた彼 ....
引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算

蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
要するに
しっぽ
なんだと思う

ブロック塀を
渡る猫が
しっぽ
ぴん、と
アンテナ立てて

バランスをとる
そろりそろり
それでいて
悠然として

しっぽ
うっかり落 ....
借りたてのアパートの
白い壁の
ざらざらした
感触に
うつろな視線を投げかけている
手のひら

からはじまる
小さいメソッド

何時間も壁ばかり見つめています
することがないので ....
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