うれひを小脇にかかへ
  不眠の患者の眼のうへ ありく
 うすひ壁なぞすすす あへなし

やる気もうせたこのカラだ
サイレントピアノを百年たたく 人真似よろしく
肺病む少女をゆうれひ ....
 
 
忘れかけていた三行の約束を
同時通訳していく
身体が沈んでいくのがわかる
劣化して重たくなった雨傘みたいに
 
トイレットペーパーが
自動で巻き取られる音がする深夜
ブルペン ....
秋になったら家を出る
軍手とシャベルを持って遠く遠く
九月いっぱいは歩き続ける
十月は釣りなどして過ごす
十一月が木々を染め出したら
場所を決めて、あとは待つ
落葉を敷きつめてその上に座る ....
鋭角に奔る超高層の上空/オレンジに浮かぶ雲をジェット気流が切り裂いた。
このところ帰宅してもパノラマで立体画面を見るのが怖くなる
昨日も、定期健診と偽って診察に行ったB級高齢者が、百人近く飯 ....
{引用=

せかいのあちこちに
内緒で敷かれている
内緒の線路を走行する
打ちっぱなしの
コンクリートの
でっかいとんねるは
せかいの中身を
くり抜きながら
こわれた部分を直して
 ....
君のことを
煙草1本分だけ考える
はずだったのに

君のことを
煙草3本分考えてた

煙草の煙は
君への

想いのように
柔らかく漂ったり

ため息のように
切なく漂ったり ....
 
 
色鉛筆のケースの中で
弟が眠っている
一番落ち着ける場所らしい
父と母はテレビを見て
時々、笑ったり泣いたりを
繰り返している
ケースから出された色鉛筆で
僕は絵に色を塗る
 ....
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