すべてのおすすめ
もやぐ朝
夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図
けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま
さ ....
君が
君の石を置く
世界が君色に変わる
僕が
僕の石を置く
世界が僕色に変わる
きっぱりとした君の白
雪の淡いと
僕の
空を模したブルー
交互に
わかり合って
分か ....
声を ころし かなしみを押し殺していた人の
憂鬱の背中で
凪
蕾は 固く硬く 腑甲斐なさのひとふさ
人間だけが持つ
病
すべての荷をほどき 纏ってきたものを
お脱ぎ ....
雨の日は
傘を射して
射す時を待つ
明日の予定は
そうだ
オレンジケーキを焼こう
とびっきり
美味しい豆を挽いて
夫の帰りを待とう
{引用=(享年36歳)}
....
三つ 仲良く 咲く花に
何を 思う
寄り添う心を 連想しよう
隣に 壁が 有れば
十二分に 騒げるから
気が変にならずに済むよと
キミは 笑いながら
黄 ....
いつかの
藍色の夕暮れ時の
郊外の
「青年」の
魔窟への憧れの発露
どうやら
「青年」は
“アンダーテイカー”の入場曲(「ザ・グリム・リーパー」「レスト・イン・ピース」「ダーク・サイド」 ....
世界は
そうではないもの で
埋めつくされて
わたしは 青緑を食んでいた
ひとびとがそれぞれに
大切なものを忘れゆくように
信じてたものみんなこぼれた
それだとずっと思ってた
みんな違ってわたしはこぼれた
水になってとけ出した
クリームをちょうだい
コーヒークリームを
いいから底に
沈澱させてち ....
人を助けられるんじゃないかという傲慢な思い込み
人を助けたいという自己満足の卑劣な思い込み
人は助けられたいんじゃないかという子どもじみた思い込み
人は助けることは出来ないんじゃないかという透徹 ....
澄み切った青い空の真ん中で
誰かがきっと泣いている
私はいつも測れずにいる
空想の両手を天秤にして
小さくついた溜息と
少しだけ擦り切れてしまった
透明な羽毛の内包する
輝くよう ....
……ぼん、ぼん、ぼん、ぼん
ぼんしゅかぼんしゅか
手取りが済めば
ここはだだらな島国だから
打出の小槌を担いで一興
採掘現場に行きましょう
手と手で掴 ....
シロツメクサに
私はなろう
遠い
異国のビードロを
木箱に
そっと包み込む
同胞たちの
笑顔のように
こわれてやまぬ
あなたの心
私は
そっと包み込む
花で
ある ....
日の出前
生命以前の静寂
ただ刻々
事実だけが降り積もり
上滑りしていく感情
淀んだ意識のまま
時間をやりくりし
このような自分だ
と凝視する朝
いちゃもんを
自分で自分に
つけ ....
じゅういち時 しめきったへや しめったかみ しんしんと陽ざし
つめたいはずの風 さびしげにまどをたたく
あるくひとはこごえて かれはがころがるほどう
空にてんてん くもはこまかい
ガラ ....
まちじゅう
きらきら
こぼれる
ことば
ぶきよう
きよう
とりどり
あかり
すきも
きらいも
ほしふる
こよい
えみも
なみだも
きらきら
こぼれ
ゆき ....
雨が街を一斉に叩く音で目が覚める
億劫な、暗い灰色の朝に
独り、目をこすりながら時計を見た。
午前5時半。
雨が降ったって
雪が降ったって
強風に煽られて
....
自分を慰める歌も
持ち合わせていないので
枕の上に
生贄のように
投げ出した腕
手のひらに
種が芽吹いて
止める間もなく
こぼれる
花
花
紫苑
私は後悔して ....
何かあるはずだ
死角だけが欲しい 学習したものはいらないから
驚かせろ 貴殿の役目だろう
何かあるはずだ
首を傾げる阿呆な振る舞い 呼んでない
もの足りなさの 本当は満足 月に似 ....
しゃれこうべは髑髏って書くんだ
たぶん死ぬまで書けないと思う
僕らはサイズ違いを一つずつ持っていて
ときどき皮膚の上から
指でもってお互いのかたちを
たどたどしく確かめてみるのが好きだ
....
去年のバーゲンセールを思い出す この時期は いつも
街は人気のない朝を迎えることが望ましいと思える
毎日のように目黒川から発散される吐き気のする匂い
ぼんやりと 女や子供に似た 不気味で 不 ....
いつからか
いつからなのか
延長戦に突入した
そのときを見過ごした
イルミネイション
唱えるたび
蒸気の純度が増してゆく
過剰にいきてる
いきすぎてる
その確信を
嗤うイルミネイシ ....
言葉は盗品
また来て懐疑
カラスは低空飛行を
低空飛行はカラスを
やめようとしない西の空
西は西からやってきて
東へ去ることもないから
西が西で渋滞してる
僕は何かを捨てながら見てる
....
良い人は扱いやすさで軽んじられる
良い人は時に利用されて捨てられる
良い人はもてない分だけ深みが増す
男女交際において
良い人という呼称は決定的なダメージの象徴だが
良い人が好きだ
....
小路の角を曲がると
家並みの
屋根の傾きの下で
格子戸が眼をつむっている
晴れても明るくならない
印画の街
軒と軒とが接するように
建てこんでいる
植物は軒下におかれた
盆栽 ....
重たげに踊るきみの
右足と左足とが軌跡を
えがいて
、えがいたらば
わたしたちは呼応する
泣いてしまいそうな波形を
重ねあわせ呼びあう
、わたしたちとして、
ゆるすこともすくうこともで ....
思い出は断片だ
あの人の笑顔
あの人の姿
後悔
あの人のいない寂しさ
そして
私は生きている
という現実
そうだ
私は生かされている
あの人の笑顔
あの人の姿
懐かしさ
....
封筒の右端に犬小屋を建てました。
赤いペンキで塗りました。
そこで手紙を書きました。
とても短い鉛筆で。
さいしょに友達の名前を書きました。
つぎに夜のあいさつをしました。
あたらしい ....
靴底を裏返してみる
均等に減っている
癖のない人が
うらやましい
愛用すればするほど
そこに紛れもない自分の足跡が刻まれる
靴底なんてどうでもいいぢぁありませぬか
それでもうらやんで ....
「吐きたかったら 吐いちゃった方がいいよ。
その方が気分が良くなるからね。
吐くと 体の中の悪いものが一緒に出るんだよ。
だから吐いた方がいいんだよ。
そう、上手に吐けたね!
偉い、偉い ....
高層窓には
飼い馴らされた
セレモニー
夜毎
あどけない肯定が
滑らかになる
背筋は
かたいまま
柔らかな囲いは
重たくなって
屋上 ....
1 2 3 4