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しようとして したのではない
しようとしないからできること

いたるところに仕掛けた笑いの影で

逃げたのではなく逃がしたのだ
あなたはあなたを 作品の中へ

なに不自由なく澱んでいた ....
絆は悲鳴を上げる
壊れたオルガンから吹いてくる
冷たい無言の侵食に
皮膚は乾いて剥がれ落ち
ざらついた土壁が顕わになった
隠れたところから見ている
目が
衝突して{ルビ擦=こす}り付けら ....
おおきなプリンを見た
まわりの商品が小人に見えるほどの
こどもの頃出会っていたら
一目で恋に落ちただろう
ぷるるんあまいときめきは
すぐに終わってしまうのが常だったから
記憶の中の憧れは今 ....
ある日『やっかみと見下し』が
『尊敬と思いやり』と同じ色の
スーツを着て髪型も似せてみた
――誰にも見分けがつかないだろう
と思っているのは自分だけ
まわりは口に出さないだけ



 ....
絵が燃える
赤から青まで
喚き散らした
正午前
光に煽られながら
藍を飲み続けた男の
破裂した臓腑
なにくわぬ顔で
かなぐり捨てた
表現の破廉恥
技巧のあざとさ
素描する死の
 ....
艶やかなバラも散る
やさしげな言葉と眼差しを添えて
去って往く喜びの日々

誇らしげなバラも散る
たのしげなギターとメロウな歌声
血のなみだ流す心の代わりに

うめつくす雪の空
一羽 ....
穏やかに白く
少しだけ痩せた面持ちで
たなびく蒼い雲よりはるか
高くに在って潤むもの
この想い捉えて放さず
冬枯れた枝のすがる指先逃れ
軌跡すら残さずに
やわらかな光秘め沈黙の
あらゆ ....
魚は形を失った
こっそり棚から取ろうと背伸びした
幼子の小さな掌から
するりと逃げ出したのだ
{ルビ釉薬=ゆうやく}で青みを帯びて
濡れたような
しなやかな生の動態を
無言で秘めて微動だ ....
思い出が傷跡に勝ることはない
喜びが悲しみに勝ることもない
その逆を高らかに歌いたいのか
荒れ狂う波を逃れて舞い上がる
喜びの 幸いの 愛の翼を
だが日々萎れて往く切り花のように
全ては古 ....
冬の遅い日の出に染められた雲
青白い夢間の悲しみに落ちた火種
見上げても見上げてもただ冷たく
網膜に暗い紫の影を落としては
眼孔から骨の隅々まで音叉のように
十二月の痺れを伝えるだけ

 ....
少年は秘密を閉じ込める
美しい叔母のブローチをこっそり隠すように
部屋に鍵をかけ 歩哨さながら見張っていたが
閉ざせば閉ざすほど膨らんで行く 妄想は
秘密を太らせるのにはもってこいの餌だった
 ....
太陽の繭玉を紡ぐ朝

 風景も 音楽も
 ひとつ心に溶けて
 対流する
 かたちのないものたちは
 かたちのなかでふるえ
 ただ惹かれていた
 扉の向こう
 音と意の翅を得ることに
 ....
ものごとすべて悲劇として捉える
あるいは 喜劇として
どちらも悪癖のようなもの

だけど他人の痛くもない下っ腹を刺して
オタマジャクシをいっせいに泳がせたり
頭の中へ一石投じ忘れたものを波 ....
公園の小山
こどもたちがスキーの練習をする
抉り裂かれても純白の
やわらかくつめたい乳房は
午後には固いデコボコに変わり果て
――されど まだ十二月
なんどだって楽しめるさ
雪のお化粧  ....
釧路空港霧のため
鳥のようには飛び立てず
蛇のように這って帰る
特急ス―パーおおぞらの腹の中
ゆらりゆられて眠りに溶けて
ボールペン型ミサイルが
ピンポイントで飛んでくる
今ならいい 今 ....
この風は そう
わき目も振らず往くようで

散って掠める綿雪は
頬から熱を吸い
涙のようなそぶりして

――おれのせいじゃないさ
娘の傍らすり抜ける
往き着く果てもなくただ先へ

 ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
愛の包み紙を剥がして食べた
味なんかしない けれど
美味いとか甘いとかなんとか言っちゃって

以来 愛は無色透明 気配を殺し
居るような 居ないような

――気になるのは 破れた包み紙
 ....
雪は拭い去らない
覆い隠すだけ
日ごとに捲る
白紙のページ

忘却は灰ではなく
深みに沈むこと
どこか届かない
タイムカプセル

書き変えても
消去しても
記録を改ざんしても
 ....
雪を被ってすっかり閉ざされた
 枝の間 
小鳥は空を 
  ひと跳ね 
 ふた跳ね
すっ と吸われるように消える
とりあえず
生あるものは辺りから姿を消した訳だ
空を埋め尽くしていたあ ....
十一月十八日 江戸 秋葉原
野次馬たちの視線を七色に乱反射させ
聳え立つは巨大なギヤマンの壺
その目もくらむ頂上の 縁を走る 影二つ

永久脱毛された花魁姿のゴリラ
追いかける血まみれの巡 ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
自分が虫になったと知った時
グレゴール・ザムザは紛れもなく人だった
グレゴールの家族が彼を虫として認めた時
それは毒虫以外のなにものでもなかったが

作者は残酷な創造者であり
読者はこころ ....
意識はふくらみ 肉体から浮き上る
こどもの手に握られた風船みたいに
実体のない 軽すぎるガスで ぱんぱんになった
自我――今にも破裂しそう(でなかなか破裂しない)
が 明後日の風に弄られる
 ....
水面から突き出し露わにされた
見えざる岩の 固く 鋭い突端
流れを切り裂いて
空間を満たしとどまることのない
               行進を
                ただ白く  ....
年に二度バラを買う
六月と十月 ほんの数本ずつ
ずっと深紅のバラだったが
ここ何度かピンクだったような気がする

バラほど美しい花はない
見つめているとそう思う
自分のためには決して選ば ....
刀の{ルビ柄=つか}になりたかった
      かつて

 いまは
極小ビキニでありたい

真面目な話です
    詩についての




      《ちょっとだけ:2017年 ....
胸の芯がゆるゆる融けて
濁った冷たさと澄んだ熱いものが
混じり合えず争っていた
揺れる 琴線の 綱渡り
まばたきばかりが早足で
なみなみと杯は晴天を仰ぐ
降らぬ雨を数えてか
真昼の螢を追 ....
フルート 高く舞い 歌う鳥
音を置き去りにひた走る稲光のよう
冷たい朝明けの空に溺れながら
命からがら 寄る辺もなくふるえ
ふるえながら鳴き叫ぶ――旋律


切れた指先で描いて見せる聾唖 ....
早朝の駐車場
誰かが捨てたごみ袋を丁寧に
カラスが広げている
コンビニ弁当の容器や紙クズを
ひび割れたコンクリートの上
器用に嘴を使って


秋晴れの清々しい空の下
目ぼしいものはな ....
ヒヤシンスさんのただのみきやさんおすすめリスト(509)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「――№3」に寄せて- ただのみ ...自由詩8*18-1-17
ことの終わりの理- ただのみ ...自由詩7*18-1-13
おおきなプリン- ただのみ ...自由詩8*18-1-10
におい- ただのみ ...自由詩4*18-1-6
ある絵描きのソネット- ただのみ ...自由詩4*18-1-6
CARTOLAの歌に寄せて- ただのみ ...自由詩8*18-1-3
大晦日の空に- ただのみ ...自由詩15*17-12-31
土の魚- ただのみ ...自由詩7*17-12-30
哀しい宝物- ただのみ ...自由詩7*17-12-27
時間外- ただのみ ...自由詩5*17-12-24
秘密- ただのみ ...自由詩7*17-12-20
溶媒- ただのみ ...自由詩11*17-12-16
ある悪癖のソネット- ただのみ ...自由詩3*17-12-13
白い乳房のソネット- ただのみ ...自由詩6*17-12-9
釧路空港霧のため- ただのみ ...自由詩3*17-12-9
ある風のソネット- ただのみ ...自由詩3*17-12-6
迷路- ただのみ ...自由詩13*17-12-2
ある愛のソネット- ただのみ ...自由詩7*17-11-29
日々すこやか- ただのみ ...自由詩9*17-11-25
- ただのみ ...自由詩8*17-11-23
11月18日秋葉原で- ただのみ ...自由詩5*17-11-18
嘘の種- ただのみ ...自由詩13*17-11-15
なぜか今朝彼のことを- ただのみ ...自由詩4*17-11-11
極めて人間的- ただのみ ...自由詩14*17-11-8
流時紋- ただのみ ...自由詩17*17-11-4
十月の薔薇- ただのみ ...自由詩10*17-11-1
ちょっとだけ- ただのみ ...自由詩11*17-10-28
耐え切れず- ただのみ ...自由詩5*17-10-28
アンサンブル- ただのみ ...自由詩4*17-10-25
ルールとマナー- ただのみ ...自由詩9*17-10-21

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