螺旋階段の多重羽化を司る夏の淡蒼球が瞬いている
けれど詩は半透明の憂愁で虚ろに化粧して
液状の街へ出かけたまま戻らない
きっと機械仕掛けの虹のダンスに見とれているのだ
だから私は見あきた窓を裏 ....
 深淵を見まして、見えへんもんを知りまして、鬱病になりましてん。世の中には理解できひんもんもあるもんや、と、分別ある生き方してきたつもりでしたが、その考え高慢ちゃうかと思い知らされたんですわ。アイデン .... プラスチックコップのなかの氷に

ウイスキーをかける

透明に琥珀がながれる

いつもの儀式をはじめている

コップをゆらして

ウイスキーを

氷のつめたさに近づけるのだ


カタカタカタ、コトコト ....
スーパーマーケットの
タイムサービスで
父が売られていた
お惣菜売場の隅に
さみしそうに立っていた
私が買った
うれしそうな顔をする父に
何か食べたいものはないか尋ねると
 ....
その日、僕は仕事を置き去りにして
青山墓地に向かった。
そして、
その日、僕の何かが壊れた。

さよなら神様
神様は本当に死んでしまったのだ。

五歳の僕は
毎月現れる本屋から
月 ....
ふと君と出会ったので
なにを思ったのか
結婚する気になってしまい
程なくして言葉に出してしまい

ふと言葉に出してしまったため
なにを思ったのか
結婚することが現実的に思え
程なくして ....
風呂上がりの 
弱りきった小さいお婆さんの体を 
気の早いOさんがタオルで拭き 
気の付くMさんが傾きを支え 
気の穏かなIさんが、パンツを穿かせている。 

日頃ああでもないこうでもない ....
小学校から帰ったぼくに
「今夜はお母さんの店で夕食だぞ」
と微笑みながら次兄がいう
長兄が帰ってきたところで
兄弟三人で冬の夕方の千住の町を
母の店に向かった

今夜は母と一緒の夕食だ
 ....

がんばってる
  
うしろ ななめ上
気にしすぎて
追われているから


がんばってる

足元見えない
前も見えない
目を向けても
向けただけで

呼吸が止まってい ....
旦那がトラクターで田んぼを掘るというので
いつもは義父がおもにやっているわけで
田んぼの段差や道々のカーブなど
あぶないんじゃないかと思い 付き添い
一緒に行って 掘った後にでてきた
石を拾 ....
少し前まで{ルビ賑=にぎ}わっていた 
デイサービスのお年寄りが帰り 
部屋ががらんと広くなった 
{ルビ掃除=そうじ}の時間 

いつも掃除機をかけるおばちゃんが休みなので 
「じゃ、俺 ....
父さんと母さんが喧嘩した
それがただもう怖かったあの頃
母さんが家に戻ってこないのではないかと
おびえながらずっと外を見ていた

今日もまた喧嘩をしている
理由は知らない
母さんが泣いて ....
シロツメグサで
首飾りと花束をつくり
ぼくたちは結婚した


わたしの秘密を
あなたにだけ教えてあげる
と花嫁は言った
唇よりも軟らかい
小さく閉じられた秘密があった
シロツメグサ ....
まるでひとつの季節が終わるように
僕は死んだので
周りの誰もがそのことに
気がつかなかった

僕だって少し前から
予想はしていたものの
実際にははっきりと
自覚している訳ではなかった
 ....
背が伸びる事
それは色々な『こと』がわかる事

『小さい頃に描いた夢のこと』
『大きいと思っていた世界のこと』
『明日を思い描いていたこと』
『宇宙飛行士になりたかったこと』

それが ....
某は 老人ホームに住む 認知症の老女である
よく虚空を見つめて笑うが その先になにがあるかは まだ教えたくない

某には 主人が居る 
他の家族は 来たことが無い
某には 主人しか居ない
 ....
「たいへんよくできました」
というスタンプがどうしても
自分のノートに押されたかった
先生にノートを渡しても
いつも「がんばろう」とか
「あとひといき」ばかりだった
同じクマのスタンプなの ....
いつも通る道のある家の玄関に置かれた
手入れを忘れられたその花壇は
いつも泥みれだった
白い花が咲いているというのに
綺麗とは思われず
むしろその花の美しさが
汚さを目立たせていた
花の ....
子供の頃
僕の住んでいる街に薄汚い工業都市だったけど
老舗のデパートが一軒だけあって
母に連れられて買い物をした後で
いつも階段の下の小さなフロアーにある
赤い看板のスタンドに立ち寄るのが
 ....
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい

グラウンドには長く
影が伸びて

僕の生まれた星にも
 ....
吹きすさぶ風音
窓をたたく雨音
ベッドに横たわり
耳に入る外の音に耳を傾ける

自力で寝返りをうつこともできない
かろうじて動くのは左手のひじから先
声も出せず
ただ目の玉だけを動かし ....
そらにもよ
でっかいそらが まつんだと

まんずだまって みあげてみれ
そっだらここちが するもんだでよ
ふしぎなもんさな
なしてかな

はらっぱはよ うみのすみっこなんだと
うなば ....
「おとうさんかってにいかないでよう」

そうだね
きみのおとうさんは かってだ

きみのおとうさんは きみの知らないところで かってにあそび
きみのおとうさんと きみのおかあさんは きみの ....
―もう少し生きてみるか―
駅の改札を出てきて
ふと洩らした中年男のことば
連れがいるわけではない
一人で改札を出てきて
ふと洩らした独り言

僕は電車に乗ろうとして
改札に向っ ....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの 
うす汚れたきりんのぬいぐるみ 

{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に 
忘れられていようとも 
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
バスのホームにゴキブリがいた

それを傘で攻撃するおじさんがいた

おじさんはこっちをチラチラ見ながら

やがて息絶えようとしているゴキブリを観ていた

ゴキブリが最期の力を振り絞り
 ....
 昨日の日曜日は嫁が友人に会うというので娘と二人で留守番だった。
 昼飯を食って昼寝した後、ずっと室内にいるのもどうかと思ったので、自転車に乗って駅前にでもいくことにした。勿論娘は自転車の補助席だ。 ....
パステルカラーに飲み込まれた。

あの娘は、パステルカラーに。

現代美術の進展具合に絶望して
部屋中をペンキで塗りたくった画家は

チャックベリーの誘惑に、
負けた。

彼は今、 ....
 青い思い出
 遠ざかる青春の光
 
 理の道
 けもの道
 
 タイミングの悪い信号を無視して
 となり街のあの娘に会いに行こう
 
 夜の中 孤独に灯る自動販売機
 瞳に映る光 ....
今月末、女房の実家に墓参りに行く。
仕事の都合などで、もう三年ほど実家には帰っていない。
鹿児島なので、千葉からそう簡単に行けるところではない。

墓地は高台にある。
眼下にはきらき ....
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