すべてのおすすめ
ふるい扉は頑丈で
坂みちをふさいでいる
その手前で三角にすわって
少し音をきいていた
あかぐろい、(でもやさしい)
まるい(でもつよい)、
おおきな、あかるい、時折白い、
響いて ....
なにか忘れそうなきがしている
なにか
雪が降っている
空が濃く青い
皮膚が張っている
忘れそうな
あなたは昨日から
水色のズボン
なんだっけ
夜は冬の気持
水玉の靴下
泣きご ....
あおじろい保安灯に
むくんだ肌がうつっている
こちらはかさかさに渇いているが
蛇口からは水
春はゆっくりやってきた
さいごは けれど
引き鉄をひくように
桜をたべたら甘かった
....
目がさめて じとしてると
夜のひと粒に 少しずつ
朝が混じってくる
ひと粒ごとに かわった色と音をして
きんきん しいしい
降ってくるのを
わかりたくて じ としてたら
こんな ....
こわくない
冬なので
こわくない
ビタミン剤あるから
ぜんぜんこわくない
花柄の靴したを
いつもばかにされても
構わないで履きつづけていた
ななちゃんは9歳だったのに
勇敢だ ....
ほしかった
ものをまえに
気持をうしないそうで
驚いている
驚いている
わたしがわたしを
うしないそうで
ねむりなよ
あなたが
言うものだから
泣くよりさきに
ほほえ ....
雨の日に彼女はピクニックへでかける
ぐしょ濡れのボンネットのうえでキスするために
アナウンスが不在を告げる
(あなたが誰かわかりません)
ため息で重たくなったバケツ
動物園で産まれた猿が山で ....
あなたの庭はなんの匂いもしない
野球中継
祝日
汚れたスニーカー
擦り切れてゆく生活のなかで
煮える卵
砂壁
青空
だれがわたしたちを救えるだろう?
液晶モニ ....
たびたびからだは貫通するが
すこしも風がとおらない
あの背中のうえではなんども裏がえった
裏がえりつづけて
すっかり風そのものになってしまった
あれは何百年まえだったかしら
うしろむきに種を食べていた
あのとき
あなたがわたしを好きだとしっていたら
あんなには幸福じゃなかったろう
鏡とするような接吻ばかりした
そのむこうに
だれかはちゃんといたのに
....
鳥は飛ばない
不在だらけの世界で
決めていた
啼けと言われたら
もう
飛ばないことにしようと
鳥は決めていた
鳥は飛ばない
つめとゆびは
20ずつあるので
ちょうどよくセットになる
わたしは
とりだせないしいくつあるかわからないので
だれともちょうどよくない
かなしい
まくらを抱えてすみっこへ
あざだらけの脳みそを抱きこんで
痛む歯を舌で舐めている
でもあたしは愛されている
覚えていないくらいむかし
あたしはだれかにキスされたから
歯が全部溶けて ....
あい色ごしに赤をみて、
まばたきごとに星が降った
あんなにとおい星どうしが
かちかちと鳴りあうのも聞こえたよ
草は草なりに濡れ
砂はひと粒ごとに熟れて
笑いあうのが世界だね
....
いつまでも覚えている青さを縫って、
(勝手に)、
勝手に生きている、
終わらせない(終わらない)
自由を、(不自由を)
はしりまわって、はしりまわって手に入れて
おいで、と言ってく ....
しらない国から
風が吹き
しらない国へと
わたってゆく
鳥でもこうは
とべません
しらない国から
雲がきて
しらない国の
滝となる
鯉でもこうは
のぼれません
....
まつげが
長いから
ほかのひとよりも
うす暗い世界で
生きている
ときどき はっ として
息をとめている
チェリーを吸ってた
女の子
思い出すように
生きるから
死ん ....
短い旅を終えて
君が立っている
骨ばった大きな笑みと共に
ほどけた靴ひもを
結んであげるよ と言うと
いいんだ これから
空を飛ぶから
そう言って
短い旅に
でて行った
4:42AM
きみがてのひらで
目かくしをしてくれる
いいにおいのする
やわらかい暗闇が訪れ
どこかで
列車が動きはじめている
八月の終り
きみがてのひらで
目かくしをし ....
愛しさをこじらせた朝
うらぎるように街は香り
なにも
知らないようなふりを
続けるほかになかった
押しだまる人びとのかげに
花水木がしらじらと開いている
胸のあたりに
なつかしいうたが溜まってしまい
病院へいったが
ておくれだった
それ以来
胸のあたりに
うたを一匹
飼っている
あの日とよく似た景色に
ぼくは取り残されている
すこしだけみじめで
信じられないくらい自由だ
長い髪をしていた
君がここにいない
「ゆうがたにも匂いがあるね
晴れた日と
雨の日 ....
いち日に三人とシーツをみだし
またそのたびちがう人を思いうかべ
いったい
こんな液体の行き交いが
なにを意味しているのだろうと
かんがえてみてもわからない
わたしのあしゆびは冷えきって ....
ぼくは
とじこめられた悲しみ
爪を噛むなよ
あきらめろよ
ぼくはとじこめられた悲しみ
届けられない葉書
みわたす限りの
こすもす畑に
種を撒いていた
きみだ
きみだ
きみ ....
降りそそぐのを
右から整列させる
ぼくはもう
だんだん
目が暗くなっている
あかるいテレビから
もれる笑いごえが
喧騒が
壁をつくる
あしもとをぬらす
ぼくは
もう
だんだ ....
まずあなたがいて
わたしがいた
そのむこう側に
せかいがあった
空があった
海があった
街があった
人々がいて
季節は移ろい
言葉は交わされた
あなたは世界ではなかった ....
秋晴れてんたかく、
静止した窓のむこう
水たまりを揺らすような声が
こだまする
静止した窓の向こう。
つらなる洗濯物の束の白(いたい)
枕にうもれた
寝顔のただしさよ
....
空きびんのそこに
ひかりをいれるやりかた
まくらについたにおい
夜のしみついた
空きびんのそこにある
ひかりみたいに
安っぽく
安らかで
失われやすい
性質だったな
....
忘れないで
と言うには
遠すぎるし
忘れて
と言うには
近すぎる
出会わなければ
と思うには
おだやかすぎたし
会いたい
と口に出すほど
捨て身にも
なれなかっ ....
からだがなかなか
かわかないので
手当たりしだいに
夜をあつめ
からからのからだを
あたためている
あたためている
そのうちに
いままで使った
うそや悲しみが
いっ ....
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