なぜこんなにも
ひつようのないものが
そぎおとされて
ひつようなものだけが
せかいをこうちく
してしまうのだろう
なぜこんなにも
ひつようのないものが
なきさけび
....
虹の向こうがわのことを考えていた
蜂蜜を舐めながら歩く彼のことを
いぶかしげに眺めている
そんな自分も
周りからみれば奇異な存在なのだろう
滑り台から流れ落ちていく雨
水たまりを作らず ....
まんまるい
月の照る夜に
凍てた川を跨ぎ
去ってしまった者へ
まんまるい
陽の照る朝に
そこらじゅうの鏡に
閉ざされた思いへ
....
ひとのなみにおぼれながら
たいがんからやってくる
ひとのなみをみていた
そのなかに
なつかしいちじんのかおを
みつけた
どんないきさつで
ちじんになったのか
なまえ ....
色のついた絵の具を買って
窓に町を描きたい
雲を描いて
煙突を描いて
笑っている人を描く
指先がどこまでも自由になって
僕のつまらない話を聞いては
頷いてため息をついて
また透 ....
忘れようと
あがいてみたけど
余計に
思い出は
濃くなって
いきました
似ているって
書くものが
似ているって
言われました
どこか
遠いところで
つながって
いるのかも
しれません
そう ....
パンを一口かじる
柔らかくて美味しいので
生きた心地がしない
少年が救急車の真似をして
変電所の方へと走っていく
その距離と速度の先に
助けなければならない人がいるのだ
....
電話がかかってきて
行ってしまった
幸せになるんだ
といって
コケリンドウの
花をみつけた
ちいさな青
の付け根のあたり
淡く
消えそうなものに
私はいつも憧れる
たくさ ....
みんな背中に
対になる両翼を携えて
空を飛んでいるのに
ぼくだけ
左側にだけしか翼がない
幼い頃には
確かに右側にも翼があったはずなのに
みんなぼくの背中を見て
かわい ....
きっと世界は
音と手を取り合って結ばれている
僕の中で
聞こえてくるのは静けさ
初めて世界に触れたとき
教えてくれたのは無数の音の生まれ変わり
そのときから
僕は独りを知った
....
部屋の窓にヤモリがいる
よっぽど気に入ったのか毎日張りついている
そのうちもう1匹住みついて
今では赤ん坊もちょろちょろうろついている
ヤモリの一家はよく虫を食ってくれる
家守は本 ....
豆腐がテーブルの下に入ったまま
出てこようとしない
いくら呼んでも
何の反応もしないでじっとしている
仕方なく椅子をどけて
自分がテーブルの下に入る
特に豆腐に恨みがあるわけでも ....
だれかが祈ってくれている
だから祈りをかさねている
まわりを見つめる
まわりを感じる
胸の痛みなくなるまで
まわりを見つめる
まわりを感じる
だれ ....
ずっと待ち焦がれていたの
その手を
あなたのその手を
あなたに愛撫されるように
夜のシーツに包まってわたしを宥めた
あなたをずっと待っていたのに
あなたの指がわたしに触れ ....