午後散る坂を
街へ街へ下りてゆく
冬のまぶた
遅い息
夜はうしろ
夜はうしろ
明るくも
暗くもなく
灯は近づき
人は居ない
すべての底に
....
目次みたいな人生が詰まっていて、きつく、とても、それが何重にも重なって数えきれなくて、っていうのが何列にも並んでいて重い。
待ってはいるけど待たされてるわけではないし、たくさんやってきて、たぶん、い ....
ヨドバシカメラの前で
カーネルおじさんは待っております
圧力釜の中でケンタッキーは
香ばしい青空の脂肪にまみれて
踊っている
ファインダーの中を2時間に1本の
バスがたまたま通る
おじさ ....
郵便局に行くと中澤佑二くんが見られる。今は大きな前歯でニッカリしている。
ゆうちょとゆうちゃんを掛けたのだろうか。この人はユニフォームよりスーツが似合う。存外に薄い体幹が知性と協調性を主張しているの ....
やわらかな光をたばね菜をゆらす瞳に春を住まわせた人
傲慢で ひとりよがりな 心臓に ナインインチの 釘をぶち込め
屋上でバニーガールは恋に落ち月のベールをまとう十二時
病室の君も宇宙を駆けめぐる秒速30キロのランナー
白き花 グラジオラスに 魅せられて ひろがる心 おさなごのよに
泣き虫に大きな壁が立ちはだかった
途方もなく続いている道
下手をすれば踏み誤ってしまいそうで
たったの一歩がなんとも重いこと
行くしかない
行くしかないのだと歯を食いしばる
わたしの 遥か上空 ....
猫の背のまるみにそって春の陽が君をくすぐる、うたたね日和
雨の日は虹の七色探索す。ポスト、au、ロフトにハンズ。
母に似た 痩せた女を 抱いた後 髪を撫でられ 眠りに堕ちた
ことば がおちてきて
かんじょう でふみかためた
のせたいぶんのきもち を
しずかに けいりょうする
はし まであるくとちゅうで
ふかみに はまって じたんだ
....
{引用=
いつまで ここで
こうしていられる
ましろいはこにわ
おたがいのわいしょうなじがを
こねくり こねくり
こねくりまわして
いつまで ふたり
つづけていくんだろう
い ....
本当のわたしを浸せばバスタブに泡が咲いてる、泡が散ってる
くずりのけたわだちは
ひわたののどにねむる
ゆするとなのはなめに
もたれたこくげんのよ
つづらめざめしらかげ
あがないくうからきる
クロアチア大使館の前を片足引きずって歩いている男は右足ではなく
道路を引きずって歩いているのだ。
黒いぼろ靴の腹で昨日は青梅街道を引きずっていたが、
今は明治通りを引きずっている。
現時点で3 ....
大鉈で マネキンの首 縦に割り 床に並べて 口づけさせた
「ヒヤシンス」うさぎの耳にささやいて花の白さを月に浸した
世界を広げるための、呪文を唱えられない
気づけばそこは真っ白な世界で
横たわる僕の耳は冷たかった
枯れた枝に粉吹かせて、風の舞う軌跡が見えた瞬間
大切な事を忘れている気が ....
「再発は再出発のことだよ。」と笑った母のわたしは娘。
老いさらばえた者の投げる石は
無機物であり卑屈なものだ
若く猛々しい者よ、思いきり石を投げろ
その有機物としての生命をぶつけろ
陰湿な世界を砕き散らせ
俺達こそ ....
冷蔵庫のブロッコリーには100年間が詰まっていて、
それが1日で10年ずつ老いて行く
可哀相なカリフラワーはしかし上海まで辿り着けなかった
レタスは春を夢見るあまり自分を花だと思い込んでいるけれ ....
ふるさとの母の帰った日の夜の 机にぽつんとはっさく光る
冬の夜にひまわり萌える だれひとり踏み荒らせない心の花壇
廃 院 の ベ ッ ド の 上 に 捨 て ら れ た 注 射 器 ....
君は何を悲しむのか?
母の死
恋人との別れ
試験不合格
落第
解雇
君は何に期待をするのか?
滅入ったところで何になる。
それも来ては去る気分のひとつ
全ては来てはまた去 ....
仙川駅前商店街の貸ビルの屋上のベニヤ板囲いの中
2頭の双子のグレートデンは3×5メートルの矩形の空に向かって吠えている
5月下旬の暮れなずむ小豆色の空は日曜の買物を済ませた女達に優しく
薬局の店 ....
ぜんぽうのとおいさか
口を動かす ぜんぽうのとおいさかをみつめながら 何か言おうとしてこすれ合う
くちびるをさわる 遠い風が ふたつのゆびが 互いにこすれ合う
わたしはさかのちゅうふくにたって ....
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