大切に育てたモノは
誰にも見せられない
丁重に外を睨め上げて
時折祈るのは空が落ちること

暗く湿った風を蔑んで
耳に残るは静かな破裂

命は吐き気がするほど柔らかく
言葉は寒気がす ....
なつかしいには二種類あるね

遠くなって久しかったものに
また会えたとき
ずっと会いたかったものに
また会えたときと

遠くなって久しいものを
思い出してしまったとき
会えるはずがな ....
+


花が散るころにわたしは女でした。女になってしまい、
鉄鉢の中の百枚の花びらが
蝶のように羽ばたき、遠ざかるのを眺めた


+


花びらのひとひらを虫ピンで留め ....
蠢くものでありたい
食い尽くすものでありたい
這うものでありたい
啄ばまれるものでありたい
花から花へと飛び交うものでありたい
土や水や植物やコンクリのあらゆる表面を
逆さまにも垂直にも歩 ....
新月の深い闇夜はいつも
晩夏の有明海を思い出す


まだ19歳のひとり旅だった

熊本長洲港から最終間際の有明フェリーに乗船し
対岸の長崎国見の多比良港に渡った

フェリーに親しげに ....
うちの洗面所の鏡には
未来なんか映せない
せいぜい疲れた顔をした
人間ぐらいしか映さない

水道の蛇口をひねったら
赤い色した血液が流れ出た
あわてて手で押さえたら
私の手の平が赤で染 ....
数千億の水の龍が
大地に嫁ぐ音で
安らかに{ルビ微睡=まどろ}む
頭蓋の裏窓から眺めるよ
天よりただその為に落ちる
水の龍達よ
すまない
君らを救えないが
私は救われた

頭蓋の裏 ....
Monet.嗣治.茂次郎.さんのおすすめリスト(7)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
命は吐き気がするほど柔らかく- くろね自由詩410-1-12
空の少しだけこちら側- 海里自由詩210-1-5
連詩「四季」_竹中えん_夏嶋真子- 夏嶋 真 ...自由詩2809-12-26
蟲詩- 海里自由詩509-12-25
不知火の海- 楽恵自由詩13*09-12-21
水の旅- 朧月自由詩609-12-8
水の龍の嫁ぐ音- 瑠王自由詩6*09-9-30

Home