肩書きは「青い新宿回遊魚」まだあのひとはいますかここに
膝を抱き「東京事変」聴いていた人恋しくてベゴニアを買う
束縛を嫌いみずから糸切れば動けなくな ....
6月の空がジョウロを傾けた小鈴フルフル優しい水遣り
一語訂正しました。 優し → 優しい
北山通の並木かなしむ夕暮れの色はほんのり青さをもって
少年が息をひそめていたわけは蛍でしょうか哲学のみち
宇治川を背に立つ君の少しだけ歴史を知っていることが ....
月の横さわりつづけるまぶたかな
まぼろしを捕らえ離さぬ冬の蜘蛛
どこまでも何も無い部屋ひびきゆく
おまえにはおまえの音叉つき刺さる
....
パソコンが今日も苦しく今日を喰う
口んなか黙りこくって毒を増す
鱗には鱗のひかり鱗庭
片方のまぶたのつぼみ舐めひらく
誕 ....
{引用=
あいたいと言ってきみはみゃぁと鳴く 受話器ごしの喉はぐるぐる
いつまでも傍にいてよとキスをして 眉間にシワを寄せている猫
しっぽふるきみの動きを見ていたら 38℃の ....
シロナガスクジラの親子そして僕、だれもが青い星の旅人
横断歩道の黒白正しく踏み分けていくように押す部屋番号「206」
無機質なふりして並ぶ玄関のドアは夜まで熱が抜けない
ココナツの洒落た香りが悔しくて窓に3ミリ隙間を作る
....
「みなさんに明日が来ることは奇跡です。それを知っているだけで、日常は幸せなことだらけで溢れています。」
これは「余命1か月の花嫁」のドキュメンタリーの中で出てきた言葉だ。
この言 ....
いつだって
哀しみからもれてくるだろう
一輪のやわらぎを
あたえたくて
それがどんなものか言えなくて
わたしのくちびるは
ことばをなくしていても
温度はあって
空から
ひかりがこ ....
まだごはんたべてないから
ああああああ、
ちからが折れそうで
ああああ。ああ、
ろくなことはなくて
まとわりつくのは
ああああ、ああ
冷たい乾燥のはだを
なぜてみる
ふしんなハガ ....
遠浅の日々はいつの間にか息継ぎの仕方を忘れさせる。
駅まで、の最後の交差点に立つと
呼吸が止まるほどに夕焼けの匂いがした。
*
「雲は、本当は流れていないのです ....
■秋
すべての色を飲み込んで
ただ透明である、秋
■チャイム
夕陽が窓ガラスに映ったとき
風がいつも置き去りにするもの
■図書館
古びた新築の匂いがする
■デジャヴ
....