日も月もない白い空と
ただ静かな灰色の地
その地平を 巡礼のように
椅子たちが列をなし 何処かへと進んでゆく
眼が醒めた瞬間になみだがおちた
さえずりと静寂がみみに滲みた
こどうはひびく
おなじことばで
おなじいろを観て
まぶたを閉じては寂しさをたべた
あけわた ....
スピカ、昔の話をしよう
ネットカフェで安物の映画を見たね
白黒で、音質も悪くて、それでも
主人公がさいごにひっそり自殺するシーンは素敵だった
アパー ....
ミスったっていいじゃん
アイラブマクドナルド
君のゆめには
カロリーが足りない
点滅信号のループ
タイトルの長い歌を
ひくい音量で流してた
どのガードレールに
ぶつかればよ ....
{引用=
月曜日
欲望の匂いがしてオンナノコちゃんは目が覚めた
窓辺に刺したガーベラは9ヶ月前からとっくに枯れてしまっている
乾燥した花びらは触れると粉になって
オンナノコちゃん ....
あなたの
果てのない恐怖と感謝がいりまじって
心臓がいきむ
マーブルな固形炭水化物をかじっている
泥の中や渋谷の109前で
白目をむいている健常者たち
瞳孔の開いたパリサイ人やマン ....
『まずぼくの体にかんしていおう
耳は生えているようで
目は埋まってるみたいだ
だから表面加工をほどこしても
けしきはちっとも変わらなかった』
バスでシオリをなくしてしまった
....
君が食べた星の欠片をかき集め、
泣き出した彼女の海へと沈めることにしました。
そうすれば切り離した君の足がどこからか生えてくると、
君の指先が求めていた意味が教えてくれたのです。
刈り取っ ....
言葉
目配せする紫陽花たちはにぎやか/に笑みをこらえる。もうすぐ先生がやって来る。廊下をひた走る。期待。新学期はとうに古びて奇妙な連帯感が地中に根を伸ばす。もうすぐ黒板消しが落下する。中間テスト ....
東京のアパートの壁に
砂の黄色がかったタイル柄を
写真に撮って張り巡らす
壁の間を進めば
*
共同ホテルの看板はとうとう見つからなかったのだ
小さいだろうから
ヤシの木が顔を ....
毎日
夕暮れ時になると
必ずスーパーマーケットへ行ってしまう
何か買うべきものがあるように思うのだ
冷蔵庫の中には
肉も野菜もそろっているのに
心の片隅がすうすうして
それを埋めるものを ....
気がつくと
椅子に座り
女を抱えていた
口をぺちゃくちゃして
何かいう
薄いテレビのような女
体を動かすので困って
それからどうしたか
覚えていない
thin and s ....
きっと
体の中の 心の臓と 言われる場所には
純白の 純白の 繭があって
そして
繭の中には 子供の時の私がいて
膝をかかえて かたかた 震えているんだ
いまも
膝をかかえて ....
女は死してなお美しくありたかった
最も耐えられなかったのが遺体発見現場の女を縁取る白い輪郭だった
そんなまぬけな標識のようなシルエットで、女の身体を縁取るということは
死んだ女にとって許しがた ....
>汗をかくからふいてあげる
少しふくらみをもった三日月ほどの光量で
ナプキンに描かれた「under construction」が
ひらりひらりと宙ぶらり
胸いっぱいの少女マンガを愛 ....
始めに朝があった
僕たちは扉を開けて
靴音鳴らして別れてった
「自分に自信がある男程SEXが下手なんだよね、何故か分かる?努力しなくても良いから。自分に卑屈な男の子の方が自分に ....
ぼくらはそれぞれの妄想の奔流によってのみ潤される
共感も信頼も憐憫も要らないから
どうぞ強要することはしないで
金は愛はあるところにしか流れない溜まらない
出来損ないの枯れた水系で ....
寒くて凍えそうな
北欧のはじっこのほうのみずうみの湖面が
鏡みたいにつめたく凍って
そのうえを
女の子がひとりすべっていく
かわいらしいカーテンみたいな
スカートをひるがえし
髪 ....
サラエボの母と娘が笑い合う姿にもまた戦火の名残