異なる方向をもつ
いくつかの時空の瞳が
時折ふと{ルビ輻輳=ふくそう}する
と
その焦点に結ばれる
あのひとの像
たまゆら
その眼差しも
仕草も
声も遠く
けれどかつて触れたこ ....
水色の影を落とす
電信柱の
間を縫って
歩く
一歩前進ニ歩後退
赤く染まった
電信柱の
影を拾っては
投げ
歩く
一歩前進一歩後退
白く輝く
一番星の
....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
零れ夜の
ざわめき
ほっと
息をする
倦怠たちの
集い
さよなら街よ
さよなら時よ
僕はもう
眠ります
ただ
眠ります
夏の陰に
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
駅前の商店街
スーパーマエダの軒先に
涼、いりませんか。
手書きの夏が、添えられていた
檸檬は今にも飛んでいきそうな色と
形をしているけれど
決して空を飛ぶことはない
朝、テーブルの滑走路で