子宮ではなかったという。
母でないものから生まれたということだった。
私たちはかつて男の一部を削られて
この世に生を享けたと
せんせい、ではこの器官は誰の名残りなのですか。


 ....
エンマサマに舌を抜かれて一番困ることは
ともだちの味がわからないこと
手が勝手に増えたり
シナプスが複雑になったり
全部 ひとりぼっちになること

おじぎをおしえるおかあさん不足
そんな ....
老人は空を見上げて言った

こんな時でも 地球は回る
こんな時でも 朝日は昇る
こんな時でも 鳥達は飛ぶ


偉い人は虚な目で言った

こんな時には 空気を読んで周りとの協調を忘れず ....
 我々は日にちを表す言葉を長きに渡り使用してきた訳であるが、本日2011年4月1日を以
って「日日」の言葉の意味するところが従来の昨日になり、「日」の言葉の意味するとこ
ろは従来の今日に改正される ....
誰も批判しない箱の中
ぬくぬくしていて気持ちがいいよ
でもね、世界は
箱の外でまわっているの

  天の川は決壊しました
  あふれた星屑は
  流れて地上へ旅に出ます
  口を開ける ....
明けない夜はないのだという言葉は
果てしなく長い夜を過ごしているときには
何の役に立たないのだということを
知っている人はあまりいない
と、憂いている人は少なくない

もしも眠れないまま
 ....
     「時」が地の底へ地の底へと
      流れ墜ちてしまうのかなぁ
          いつ止むともなく
     ざらめ雪は降りつづいている
         じっと眺めていると
 ....
君は
高く
美しく
儚く
飛ぶ

俺は
低く
醜く
しぶとく
歩く
吐かれた息は白く
空気に触れた刹那に
孤独になる 離れてく
言いかけて飲んだ言葉達は
未だに呼吸をしている
殺さなくちゃ 狂う前に

幾千年間、こうしてきた
溜め込まれ廃れない様に
 ....
もう絵はやめた
そう言っていたあなたが

鉛筆を一本買ってきた
照れ笑いを浮かべながら

これだけで描けるものを
それが今の気分なんだと

紙を忘れてしまったと
やっぱりち ....
声よりも小さいもので
あなたに届くだろうか
目に見えないもので
あなたに届くだろうか

葦茂る水の深みから
あなたに届くだろうか
冷たい夜の水底から
あなたに届くだろうか

あなた ....
降り出しそうだね、
憂鬱な天気
街路に突いた雨傘を回す
時計の針を進めるみたいに

動かない地下鉄
交通渋滞
退屈を横目にコマ送りのザジが駆けていく
帰り道に嘘の矢印を置いて

迷 ....
{引用= 昨夜、
 光が花に成り
 音が花に成り
 匂いが花に成り、
 闇の膨らみの上、
 しとしと積もっていった。}



  (そして、僕は僕だ。)



  円 ....
明日できることは明日する
今日しかできないことはあきらめる
定時まで残り時間を数えつづけて
何回休憩できるか計算をする

返事は良い
小言は真面目な顔で聞く
メモだってとる
たいしたこ ....
だって痛いから


傷口から咲く花が
美しくて不思議なんだ

君を含め


もっと見せてよ
もっとちゃんと
動かないで内側まで

透き通る肌が
浮かんでゆく


 ....
 
しっぽを空へ
ぴーんとのばして
ここにはいない人たちと
話していた
わたしたちには
そんな時代があった

ところがある日
しっぽをのばすどころか
しっぽを持たない
人に出会っ ....
{引用=*地下の風}啓蟄
三月の風が吹いている
この風は
地下の何処まで届くだろうか

春一番ともなれば
地下一階ぐらいまでは届くのか
台風の日
風とともに地下が
水浸しになってしま ....
雲に鉄塔が浮かび、鷗が舞う。
一面静止画のようでいて、
アスファルトをひと蹴りするごとに
地震のように画面が揺れる。
ドンドンドンと突き上げるような感じ。

今は坂の上で、
 ....
  やさしいだけの今日が
  昨日と同じテーブルに載った



  たがいちがいに席につく
  憂鬱はしずかに揺れる



  満たすだけが心ではないのに
  くりかえす ....
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