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呼吸は細く、長く
ゆっくりと繰り返す
名前もないような草がざくざくとしげり
時折ぽつぽつと色が見える
それは例えば蓮華草であったり
ぽこぽことしたシロツメクサであったり
小さく眩しい菜 ....
しあわせを数えて
ありがとうを発信する
予報よりも少し早めに
桜のつぼみが開き始め
相変わらず月も綺麗で
喉の奥がきゅっ、と鳴る
ひとりでもふたりでも
ひゃくにんでもせん ....
カルピスの底みたいな白濁色に
おぼれてしまう人を笑うことなど出来ない
明かりがいつも灯っているわけではなく
でも闇ばかりというわけでもない
はっきりしない色に囲まれて
遮られた視界を ....
たんぽぽの綿毛が木の枝に引っかかっていたから
指先でつまんで土に植えた
花は咲き木々は茂る
虫がいて動物がいて人間がいる
目の届くだけでも
数え切れない種類の命があり
全体数など計 ....
もうずっとずっと昔のことだ
公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた
しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
少年と手をつなぎながら
寒いねと言い合っていた
もうすぐ陽が落ちる帰り道
ふと手がほどかれる
目をやると
さっきまでつないでいた手に
綿毛になったたんぽぽ
この季節には珍しい
....
忘れているつもりは、なかった
ちょっとうっかりしていたのだと思う
言い訳がましいね、何だか
本当にごめんね
いい天気が続くと
空を見るのに夢中になってしまう
雲の流れには気付いても ....
まだ背の低い中学生だった
キリスト教系の学校だったせいもあって
敷地内には教会が建っていた
戦時中は負傷兵の収容に使われていたという
改築はしたことがないらしく
昼間でも暗くて冷やや ....
つまさきだちで空をのぞくと
くるりと回転しそうになった
笑うだけなら
泣くだけなら
簡単だ
からっぽになるのは楽じゃない
何だかんだで思考して
自分勝手に感情は波を立てる
....
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