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蜂の巣の体で回す日傘の柄
訪れたここそこで我が骨拾う
ミゾオチにポッカリ開く風の穴
森羅万象 欠けてはならぬ我影なきゆえ
完璧の形状であるこのコップ
欠け茶碗 愛おしさに白湯すする
影のない喪失感や葉の緑
樹の思想 地割り上昇スパイラル
ビルの谷 光渦巻く矩形の空
雑踏で一人影置く寂しさよ
曇天が溶けたアイスのように甘い
暗闇で影踏み遊びは真の闇
日傘さす影のない日の白日夢
白日の影踏む一歩地に投げて
天荒の息急き切った海の意志
俳句する永遠の今を留めたし
風動き我突っ立つて雨の降る
複眼の目持ちて写生句は
水晶を月夜に照らして呼吸さす
ちゅら島のサイロの悪魔 放擲だ!
明け方の鳥の声さえ夢の色
金糸なる静かな時編むまどろみは
ソファーにてなおつづまりて猫の夢
頭頂の夢のかけらが部屋に浮く
揺さと風 豊穣の胸に抱かれて
陽は流れ雲行きて行くこの窓辺
風の腕木々に触れ 聞く風の音
貝殻を海の無い街に置く
地球ヒタと動かぬ風も無く
真空のキリコの影の戯れて
黎明に傷ついた陽は静かに昇る
癒す月太陽没して涼しくて
告発は黒き鏃を研ぎ澄まし
死の準備 西日激しく吠えてみろ
空色のソーダ飲みたしこの日和
青空にストローを挿し飲む 光
光に住む住人と会話している
見上げてはゆたりゆたりと風鳴らす
灯火が心の中に灯っている
街の灯がまたたいて強き風
書の山と寡黙な唇ペンは吠え
霊の白 頭上に強く輝いて
白い雲ざわめく街は潮騒に似て
キーボード叩く心臓が血を流す
昏く地と全天 光 輝く人と
告白の言語は著され歴史パルス
石 砕く快楽憑かれ墓あばき
注ぐべきグラスに冷水 愛 流出
鉱物へ降りゆく叡智シリコン結晶す
理性の手 物質変容 地の満潮
{引用=角川の「俳句」5月号の金子兜太氏の揮ごう「土」を見て。}
一歩二歩耕す土に歩み寄る
苗木植え土に会話の汗 清く
長靴を履いて水まく耕作地
人界に白蛇の姫の現れて
相模原白蛇の波動いと高き
うつつには白蛇ワープの名残りか
撃て 撃て 浄化の雨眠りの中で
暴風雨 窓たたく音が心放つ
しんみりと更けた夜に点る霊
この魂桜花に捕られ何にせん
風吹いて桜咲くも良し散るも良し
若者よ真の思想の明快さ
富士山麓金剛宮を輝かす
海浜の遠く潮騒果てる家
歩道あり垂直交差の崖に街
呟きが5・7・5を望む放つ鳩
言論で原子爆弾をねじ伏せる
いつか来る戦禍知る人の全滅
ずぶ濡れの氷雨一興春近し
菊破滅 液体窒素に呑み込まる
IT植民傷つく人なし富める者
登頂や連なる峰々 キ・回・仏
人全てスターチャイルド胸に星
怒涛なり魂の海図もて進む
吹く風に神想起して聖書揺る
春行きて肉体は啓く霊は閉じる
天空の秘かなひみつ街の風
水雲の秘めたる力都市襲う
辞書をひく紙の音さえ懐かしむ
遠くまで春宣言し我あゆむ
ほころんではにかむ梅の香やさしい日
冷たくてつぼみ秘めたる春の宵
春の香が弾く生命我がもとに
白梅にはずむ心は匂い立つ
春の香に包まれている我が肉体
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