湯船のふちまでお湯を張る
そっと揺らさぬように
しずかに身を沈めると
溢れ出たお湯が
洗面器をさらった
体の芯がやわらかくなるまで
ゆっくりと数をかぞえる
幼い頃
....
きみは猫?それとも狼?それとも犬?
―― 'んなこと知らーん!
きみは、どうしてここにいるの?こんな山奥で、さびしくないの?
―― 'んなこと知らーん!
きみを造ったのは誰?きみをここに連れてきた ....
友だちは
ついにあなただけだ!
と妻に言ったら
きゅうにあほらしくなって
けれど、四歳の息子に
まだ友だちがいないことに気づいて
お父さんと
友だちにになろうね
....
二人の時間をはかるために
砂時計がほしい
と、君がいうので
硝子の器に閉じ込める砂を探し
砂丘に鳴き砂を求めてみたけど
どの砂もしょっぱく湿っていて
完成しないのです、砂時計は
....
電車のドアが閉まる
それを見送る
乗るべき電車は
まだ来ない
*
僕の帰る町にも
やみそうでやまない
雨は降っているのかしらん
*
「あまりよく知らない人たち ....
おやすみなさい
ねないけど
おはよう
余裕ないけど
今友達といる
嘘だけど
好きだよ
たぶんそれは本当
で ....
一人ぼっちに なりたい なりたいって言ってた
私がついに一人ぼっちになった
二人でいることのわずらわしさばっかり
わかったつもりでいた私が一人ぼっちになった
そう思うとこの町は ....