朝から起きられない
なんとか薬だけを飲み
また うとうとと眠る
昼近くに遅いブランチをとり
また夕方まで眠る
長い長い眠り
何日も何日も眠りの日々は続く
その眠りの中で
私 ....
「 いってきます 」
顔を覆う白い布を手に取り
もう瞳を開くことのない
祖母のきれいな顔に
一言を告げてから
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く
散歩日和の道を歩く
....
感情が
目の前にある気がして
引っ掻いてみた
感情が泣く
痛い、と涙ながして
すまなかった
と顔で言ったけど
しばらくそうしてな
と心で言った
小さいながら我が家の庭には
大きな松の木が植えられていた
初夏の頃には松ぼっくりをつけるその木は
祖父によるとヒマラヤスギという種類だそうで
松ぼっくりのできる杉ということが
当時の私にはと ....
さっぱりするかも知れない
いろんなことに決着をつけたら
でもさっぱりしすぎて
やる事が無くなるかも知れない
そうなったら
青空のもと
古書店巡りをして
掘り出し物の本を探そう
....
何はなくとも
言いたい日があるよ
何がってわけじゃない
どんな台詞とかじゃない
ただ心から言いたい日がある
美しいピアノ旋律
それが遠くから聞こえたとき
不意に思 ....
気づいたら
いろんなひとが
両手で込めて
差し入れてくれた
おにぎり
箸もつかえないくらいに
元気なくなったとき
たべるといいよ、って
おにぎり
すかすかの ....
夜の街を流れる 灯りたちのダンス
私達の体に流れているもの
街に流れているのは 星占いによって定められた
軽い運命たちのパレード
しかし その表面のさざめきの奥には
人の形など認めな ....
瞬きの回数分
世界が生きていた
ぱっと
開いたかと思えば
すぐさま
消えるのだ
一億頭の羊でも足りないはずの
このくりかえし
その度
世界は生まれ変わって
ぼくの前に現 ....