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うつぶせの 街は夜
わたしはとけて
中指のつめだけが
床にのこった

そのうちに春が来て
夢がながれる
ここにいた爪は
むかし 女のかたちをした
生き物だったと
手は 夜をすみずみまでたたいて きえた
大事なものと そんなに大事じゃないもの、
をくらべて
でも そんなに変わらなかった
あなたの抱擁のまえで
人生など
あってないようなものだった
 ....
こまかくなったからだに紐をつけてつめたい夜へ引きずります
もうすこし(もうすこし)ときこえる 声も引きずって
耳だったところ、爪だったところ、肝臓だったところ
ところどころにみえている
肌 ....
朝の六時に開けたカーテンを夜の六時に閉める。正しさを追って、(正しくないことばかりをおこないながら)、たどり着くのは圧倒的な現実だ。たとえば紅茶を淹れるまえにはポットおよびカップをあたためておくこ .... 夜はぬかるみ
家のない鳥たちは
飛び続ける
(落ち続ける)

指差して灯るのは
あかるいのは嘘ばかり
やさしくて生ぬるい

半分のからだを
半分の誠実で包み
越えようとした
 ....
娘はまだわたしのようには言葉をもたない。けれど、言葉なしの接触はつねに限りなく真摯であって、そのことはわたしを何度も打ちのめす。そのときわたしは、わたしでしかなく、同時にわたしである必要はないのだ .... すっかり片づいた床のうえに
ひからびた輪ゴムがひとつまるまって

きみはひろい上げて
ぼくたちの日々のさいごを束ねようとしたけれど
ぱちんとかすかな振動をのこして
ひからびた輪ゴムは切れた ....
人を
ただしい場面で
ただしい順序で
ただしい角度に
揺すると
泣く

そのただしさを
習得することを
愛とか技とか
呼ぶ人びとを
軽蔑し
憎んでいるわたしも

ただしい角 ....
ねむる人から
わずかに死がにおっている

うなじにくちびるをつけ
愛してやると
その背中に
にじむように命が動いている

ねむる人よ
安らかに
いまは死のふちをなぞっておいで

たとえば
装填されていない銃ほど
うつくしいものがあるか

街、
羽を抜かれた鳩が飛ぶ

仰向けで泳ぐ魚
黒鍵のないピアノ


引き金を引くときは
かわくほど目 ....
空が裏返り
わたしたちは輪の中に身をしずめる

心がぜんぶの水を
吸いとってしまって
体は吹き飛んでいった

肥大して
びしょびしょのわたしたちは
輪を抱き
輪に抱かれながら
 ....
死にたい日に
いちばんすきな靴したを履いて
興味のないパーティーへでかける

足首に
ほそいロザリオをつけた男に抱かれたら
こころとからだがはぐれた

音が鳴っていて
とても静か ....
愛と呼んでもさしつかえないくらいのきもちだったよ
朝おきて
顔をあらうまでのあいだに
147回おもい描いたり
季語のかわりに
きみの名前をいれたり
あんな
愛みたいな
ただの
鏡 ....
あなたはわたしに間に合わないよ
ずっと
たぶん

それじゃ間にあわないよ
ほら靴ひもが
ほどけてるよ

笑ったり
泣いたり
してごらん

怒ったり
妬んだりしてごらん
 ....
田舎のモーテルは都会のそれと比べものにならないくらい広い。(そして安い)。どことなく過剰装飾でふるくさい(でも清潔な)クロゼットやバスタブ、けばけばしい色の使い捨てのアメニティ。プレッサーとアイロ .... あなたは
ずるいことや
わるいことを
いっぱいしてきたけど

だからって
不幸が約束されたわけじゃないし

わたしも
ずるいことや
わるいことを
いっぱいしてきたけど

 ....
夜。アデルを聞いている。アデルはかつとくんが教えてくれた。アデルを教えてくれて、そのあとわたしたちは結婚した。
このアパートには若い夫婦が多い(わたしたちを含めて)。生まれたばかりみたいに見える ....
一秒に一京回の計算をするコンピューター。


夫は寝ている。多くの硬い毛に覆われた体。(それはそのままわたしの安心の形をしている。)それから、ぐったりと縮こまった性器。わたしにも早くペニスが ....
わたしはあなたを殺したかったので
音楽をつくった
わたしはあなたを殺したかったので
いちばん美しい言葉をさがした
わたしはあなたを殺したかったので
台所に立って刃を研いだ
わたしはあな ....
陽だまりと
血だまりは
だいたいおなじ温度
抱かれてるくらいの
おなじ温度

おっぱいは
血液と
だいたいおなじ成分
血をなめたときの安らかさも
だいたいおなじ成分

陽だ ....
はじめて情事を体験したときそれは情事じゃなかった。情事と交尾はちがうことだとすぐにわかったし、わたしの体験するそれが情事ではないこともすぐにわかった。だから早く子供を作ろうと思った。交尾ならば結果をつ .... 肌に吐息を
響かせる

指に匂いを
響かせる

声に憂いを
響かせる

そのようにして

生に命を
響かせる
貝殻が
閉じたあたりを
ゆびさして

ここが ずれ て、
いるから
もとの世界には
戻れないと

腕のほそい頃の
わたしが
言う


痛みは
嘆くもので
悲しみは
か ....
42℃の
アスファルト

ながめながら

冷えた部屋で
毛布

くるまり
92℃の
コーヒーを
飲む

そんな
かんじで
幸福が
だんだん
遠ざかっていく
 ....
よごれた指を
水につけて

すこし
きれいになり
水は
わずかに
濁る

わたしを
これ以上
みじめに
させないで
あなたに
抱かれたことが
何にかの糧になるだろうと
思っていた

でも
ちがったね

何にもならないから
いいのね
役に立つ恋愛なんて
信じられないものね
果物はみな少なからず官能的だと思うのだけれど、桃なんてその最たるものだ。たたずまいや、匂いや、舌触りや、もちろん味も。
桃の皮を剥くのって、肌を剥くのとも似ている。薄皮を剥がす感じ。熟れた桃の、 ....
なんでも持っているひとっていいよね。
と、友人が言うので、
たしかにそうかもしれないけど、なんでも持っているひとを見たことがない。
と、返した。そうしたら、
あなたは、なんでも持っているじゃな ....
魚焼き網と食器桶をハイターに漬けて、便器とあらゆる排水溝にそれ用の洗剤を流し込む間に、うちじゅうの床を拭く。鏡とテレビとパソコンの埃を柔らかい乾いた布で磨いたあとで、便器とあらゆる排水溝とハイター .... セックスのあと
べたべたしたキスをくれる男よりも
冷えたビールを寄越す男のほうが好き
もしそれが
火傷しそうに香るコーヒーだったら
きっと愛してしまう

セックスの前に
愛を口にする男 ....
森の猫さんのはるなさんおすすめリスト(40)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
街は夜- はるな自由詩1218-1-20
抱擁- はるな自由詩716-3-20
つめたい夜へ- はるな自由詩415-3-10
六時、現実、寝息- はるな散文(批評 ...315-2-18
半分のからだ- はるな自由詩314-12-9
娘のこと- はるな散文(批評 ...414-7-8
輪ゴム- はるな自由詩513-3-15
ゆらす- はるな自由詩2412-9-23
ねむる人- はるな自由詩812-9-19
撃鉄- はるな自由詩512-8-2
裏返り- はるな自由詩612-5-26
はぐれる- はるな自由詩1012-5-24
さしつかえないです- はるな自由詩412-5-16
まにあわない- はるな自由詩211-12-14
アイロン、アイロン台としわのあるシャツ- はるな散文(批評 ...511-12-6
しらなかった- はるな自由詩411-12-2
みんな眠ってしまった- はるな散文(批評 ...211-11-26
コンピューター、及びコーヒー、そしてタオルハンカチ- はるな散文(批評 ...711-11-15
わたしはあなたを殺したかったので- はるな自由詩511-11-13
おっぱい- はるな自由詩311-9-18
情事- はるな自由詩9*11-8-20
響かせる- はるな自由詩211-8-15
血を吐く真珠- はるな自由詩411-8-14
50℃- はるな自由詩411-8-8
- はるな自由詩611-8-4
水際立ちて- はるな自由詩211-8-3
桃のこと- はるな散文(批評 ...711-8-2
よく訓練されたウエイター- はるな自由詩611-7-5
捨てるのこと- はるな散文(批評 ...511-7-5
愛とか- はるな自由詩511-6-28

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