発火する手前で
なんとか世界は持ちこたえている
そんな暑さだ
空へのばした緑の手は
もはや力なく横たわり
おそらく
何もつかめないまま
花さえ咲かすことのないまま
明日には
残骸 ....
書いて 書いて
消せるものは 消せばいい
心にはいつだって
鉛筆と消しゴムがある
あなたとのことは
強すぎる筆圧で
かすかに
残ってしまった
いつからか僕は
どこかで明日という落とし物をしていたらしい
その落し物を見つけるために
日々をおくっているのかもしれない
健忘のように
今日という開かれたページを
もうずっと読んでいる ....
この度、代表取締役に
選任されましたタカシです
よろしくお願いします
ヒロシくんについては
好調であるアヤミさんと
お付き合いしているにも関らず
業績悪化が著しく
建て直しが急務とな ....
行方知れずの星を
また探しにゆこうか
今日は君と一緒じゃないけれど
いつもの道へ
渡る橋はもうかかっている
ひとりだってこわくはないよ
君はそういって振り向かずに歩く
音をたてずに君 ....
忘れようと 強く強く思うのに
思い出にさえ 笑われる日々
君がもし 覚えていないと言うのなら
忘れてしまえよ 今日の記念日
大切な あなたの生まれた日でさえも
....
黒は一才
生温かい
混沌
の中で
暗闇
の綻びを
手繰り寄せる
青は二才
ヒモつきの
自由
の底で
意識
は成層圏を
突き破る
黄は三才
幸せな
惰性
の ....
たくさんの
思い出に囲まれた
箱の中で
春まであと少しと
必要なものを丁寧に
包んでいく
持てないからと
選ぶしかない別れにも
振舞いだけは潔く
過去も未来も
考え ....
ノスタルジィ 囁いて
枯葉の音 季節を忘れる微熱と共に
変わりゆく景色を愛さないで
あなたが名付けた小道を辿れば
いつでも会えると信じていた
行き交う人々が私を見ている
思い出に捕われもが ....
世界中にあふれている
たくさんの言葉たち
きれいな言葉
やさしい言葉
愛にあふれた言葉
どれもみんな素敵だけれど
でもちがうのよ
私が探しているのは
胸にかちりとはまる
....
響く声に恋をする
名前も知らぬあの人は
いつでも私をからかって
私の言葉を真似て言う
私が名前を尋ねたら
私を真似て「名前は?」と
名前を告げれば喜んで
私の名前を繰り返す
響 ....
一つ減らしてから一つ足す。
残念ながら、そんなに大きな器は持ち合わせちゃいないから。
時には勝手にこぼれ落ちることもあるけれど。
気付かないうちに抱えきれない程の感情をもてあましてたのかも知 ....
私の焦る思いで
心が絡まってしまった
思考が重くて
からだも重い
刻々と、刻みつつける時間が
だらだらと過ごす疲労感が
締め付けて 何もかも重く
投げ出したいと
何もか ....
またね
行き違いの電車が同時にすべりこむホーム
確認しあって背を向けた
またね
すれ違いの苦味をかみ締めた日
精一杯でそれだけ言った
またね
お互いの気持ちを伝え合う ....
脱ぎ散らかされた
コート
冬のしめり気
誰が
ぬくもりを求めて
どこへと旅立ったのか
探して
さがした
マグカップの縁の
ブラックの
コーヒーの跡だけが
もう
冷たくなって ....
野菜スープを
朝食と同じように,出す
雨は止み、妻帰り来る
夕食時
木曜日は絵を描く日
薔薇を四輪
妻にはまだ見せぬ
二人で外へ、傘をさす
雨の木曜日
木曜島という ....
今からずっと昔
何十代も前の祖先の頃
存在しないという存在を
ゼロという存在に仕立てあげた
見えないものを見ようとして
崖っぷちから恐る恐る覗き込んだ
そこから見えたものは
自分に住 ....
恋人たちが
裸になる夜は
計算が合わない
数が音に
なってゆくから
建築物の息づかいも
聞こえてきたよ
スポンジみたいな
緻密なリズム
さびしさの背中に
スプーンを落として ....
駅のホームで
すこし優しくなれるのは
いつもとはちょっと違う場所で
電車を待っているから
いつもの道で
すこし優しくなれるのは
切りとられた空が
それは
それは青かったから
....
あまりに綺麗な世界の中で
素敵なものが多すぎて
いつも君だけを
見ているわけにはいかない
よそみしてしまう時もある
だけどその感動を
君のいちばん近くで感じられたら
いちばん最初に君 ....
プリムラ (永続する愛)
朝が生まれるように君の名を呼び
風が踊るように君と手をつなぎ
雨が語るように君を想い続け
星が黙るように君を抱き寄せた
....
ゆらいでいる
風もないのに
傾きかたが分からなくて
ゆらいでしまう
その人の傾きかたは
とても美しいから
なんとかその人と正対しようとして
ゆらいでしまう
もともと僕には
....
久しぶりに会った
友人は相も変わらずで
夜中
ぐだぐだと話など
していると
近くの公園まで
散歩しようかと
いった具合で
出かけてみたりする
ふたり
満月に出逢う夜と
曇り空
....
スキの逆はキスなんだよねぇ
好きの逆は嫌いなのに
おかしいよねぇ
あたしたち、キスばっかりしてて
おかしいよねぇ
あなたとのキスはあれだね
キュウリに蜂蜜をかけてメロンだ、なんて
楽しむような
あの感じにそっくりだね
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです
午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い ....