ペットボトルに入ったとうめいな水
キラキラ光って向こうまで見えて綺麗なんだ
でもそんな色 絵の具屋さんに売ってなかった
だから僕はとうめい色がほしくなったら
お水を買いに行くんだ
ゆらゆら纏う月の色

ひらひら翻る小夜衣


ほろほろ嘆く花の影

ふかふか見遣る片心


名もなき{ルビ憐恕=れんじょ}は風に消え

杞憂も蕩ける{ルビ玉桂=たまかつら}
 ....
  ぽつ、ぽつ、と
  雨のように降ってくる
  影、影、影……
  滲み終えれば
  夜。ではなく、
  影、影、影……
  さしのべると
  まつわりついてくる
  恐怖よ ....
そいつは何か
知らなかった
女は舞台で
酒を浴び
阿鼻叫喚
吐き出した
ストレスからか
アルコールの所為か
ゴロリ
生首
転がった
ギロリ
生身
睨みつけた
生首と僕
目 ....
告げようとした道順はほどけてしまって
あとはただ来た道を
捨てられた花のにおう坂
そのぬるい泣き姿を
思い出すことだけが残された

嘘なんかつかない
嘘さえもつけない
あのとき、という ....
母は逃げ出した
母は我慢強いひとだ
景色を失ってもどこまでも失っても
触手のぬかるみをものともせず闊歩する
母はとても強いひとだ
母はわたしたちを愛している
母はわたしたちを置いていけるは ....
日清日露一次二次 維新は戦争ばかり万世一系の皇統
ならば世世戦争責任を継ぐべし


ヒットラー ムッソリーニ ミカド  ....
ながい腕を
まっすぐに伸ばして
陽ざしをさえぎり
さらにずんずん伸ばして
父は雲のはしっこをつまんでみせた


お父さん
いちどきりでした
あなたの背中で
パンの匂いがする軟らかい ....
幸せになれる
誰だって
願い続ければ
いつか
叶うんだ

僕は不幸の仔
じゃない
願いが有るから
暗い夜も
いつか朝が
心にも
訪れるから

針のな ....
真っ直ぐに伸びる線路は遥か遠くに浮かび 
空と地平の隙間に、突き刺さっている。 
その先端に引っかかった、
○月×日 の日記の紙切れ一枚  
ひらひらと 明日の風に 泳いでる 
真っ白に傾く汚い空
僕は乾いた影響を受けている この詩もほら 

身の間から 爪のあいだから なにかを求めている なにかを抑えている

真っ白にゆます空
僕は乾いた影響を受けている こ ....
血ナマ臭い肉壁
変化
青白く冷たい石壁
交互
夕焼けのように疾走する赤い壁
弱く輝く
「ココはドコなんだ」
「御前はドコにいるんだ」
「神と母は何故ココを選んだ」
「オマエは何者なん ....
心臓に星型の穴が空いた
星型はあの子しかもっていないから
世界でたった一つの特効薬は
二度と手に入らない

人と別れるということは
四角や三角や楕円なんかの穴が
心臓に空くということ
 ....
朝、目覚めると妻がいなかった
身重で明後日には出産する予定だった
大きなお腹が隣から消えた
「好きだよ」と言うと「当たり前」と答える
あの妻がいない

ふらりと朝の公園へ出向く
鳩が悲し ....
誰もいない書庫の静寂身に注ぎ独りで生きる怖さかみしめ

虫の音を聞きながら下る階段で秋の気配とぶつかる足元

コトコトと電車が線路を行く音に別れの余韻も削られてゆく

夜に乗る電車は車窓が ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
 
 
 
今何もかもが見えなくなった
その光が眩し過ぎて
 
 
焦がれた境界線
砕けて混ざり合って
 
 
今世界が黒くて白くなった
見えるようで見えないようで
 
  ....
岩のような物体がある
だけどそれは
確かな存在ではなく
既に灰の塊でしかない

ナイフの先から
たちまち感触が失われ
崩壊する固体
右手に力をこめ前進
わずかに灰をかぶるが
頭上か ....
大海原を駆ける

群れからはぐれた1羽の迷鳥の

その瞳に映る光景を見た


哀しげで淋しげな瞳には

大海原も

大空も

映ってはおらず

ただ遠くにいるはずの彼女の ....
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